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地方創生、経済産業省が「ローカルマネジメント法人」(仮称)を検討 [地域再生・まちづくり]

 地方経済の自立的・長期的成長は市場メカニズムの活用が重要なカギとなる。いよいよ始動した「地方創生」事業の推進にもこの基本認識は重要であると考えている。
 
 このほど経済産業省が明らかにした地方創生の政策提言の一つに「ローカルマネジメント法人」(仮称)の創設というものがあるが、これはたいへん興味深い。経済産業省経済産業政策局の有識者会議、日本の『稼ぐ力』創出研究会が提言したものであり、今後その詳細を検討していくこととしている。
 
 同有識者会議、第6回資料によれば、地域の特色を生かした産業活性化策として、サービス業とくに鉄道・バス等の公共交通、小売、保育、介護、宿泊、ガソリンスタンドといった生活密着型のサービスを総合的・効率的に提供する事業体としてローカルマネジメント法人を新設するとしている。

 ローカルマネジメント法人とは、従来のNPO法人と、株式会社の法人の双方のメリットを盛り込んだ事業体をイメージしたもので、市場メカニズムを生かした地域経済の再生を狙いとしたものである。従来のNPO法人は公共性の強い各事業を担う点で重要な役割を果たしてきたものの、財源が寄付金に限られていたため慢性的な資金不足に見舞われてきた。また利益の配当が制度上不可能であるため、事業拡大や発展に制約があった。つまり、公共性の強い事業分野ほど、市場メカニズムが機能してこなかった。

 そこで株式会社のように利益の配当を可能にし、市場メカニズムを生かした自立的な財源確保とガバナンス体制を有する新たな法人スキームを創設するのが、この提言である。

 もちろん法人格を付与して市場メカニズムを活用すればなんでも解決するとは思えない。しかし地方都市に行くほど小売を中心とするサービス業の労働生産性は低く、小規模・零細化、自営業化している現実は否定できない。こうしたサービス業の低い労働生産性をめぐる問題はわが国ではすでに指摘されてきたことであり、地方経済の衰退を象徴する事象と言わざるを得ない。駅前の「シャッター街」はその典型である。

 人口減少を加速させる最大の原因は20代から30代の若年人口の減少であるが、その若年層の特徴として、小売を中心とするサービス業を重要な「就業先」とし、また「消費先」としている点にある。これは大都市も地方都市も変わらない。したがってサービス業を魅力ある「就業先かつ消費先」とするためには、サービス業それ自体を活性化させることが有効である。すなわち、市場メカニズムを活用して、当該域内だけでなく域外からも運営資金を調達できる体制を構築することが重要である。域内外、つまりネットワークの外部性を生かすことが若年層に魅力あるサービス業の発展につながる。

 株式会社に近いかたちで法人格を付与することは、有効な手段である。少なくとも公共性の名の下で市場メカニズムを排除することは、今後の地方経済の再生を考えると、衰退をみずから招くことにほぼ等しい。「ローカルマネジメント法人」は地方創生という政策的文脈だけでなく、サービス業の新しい発展の姿を模索するうえでも試金石となる可能性は十分ある。今後の展開に期待したい。

 次回は、アメリカの公共交通を事例にして、法人格付与(charter)の意義について日米比較の視点から考えます。
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