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専修大学 塙ゼミ(アメリカ経済社会と都市政策)の紹介 [塙ゼミの研究活動]

専修大学経済学部国際経済学科・塙ゼミは「アメリカ経済社会と都市政策」をテーマに、2018年4月より開設されました。

ゼミ紹介のページが公開されましたので以下、ご案内します。アメリカ経済における貧困・格差問題、財政・公共政策・地方自治、教育、交通、福祉、都市再開発・まちづくり等の政策課題やそれらの日米比較に関心をもつ学生をお待ちしてます。


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「バイク&ライド」政策と地域経済 [都市交通]

車社会と思われがちなアメリカ社会であるが、意外にそうではない。全米の主要都市で今、いわゆる「路面電車」の敷設・延伸工事がここ10年間に急速に進んでいる。先日、出張した中西部ウィスコンシン州の主要都市、ミルウォーキーでも路面電車の延伸工事がダウンタウンで進められている現場をみた。


アメリカでの路面電車の急速な整備拡大の背景には、都市政策の転換がある。なかでも注目すべきは「自転車」の積極的な活用である。自転車ごと路面電車に乗ることを想定した「バイク&ライド」政策は、アメリカでも拡大の一途をたどる。

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オレゴン州ポートランド市の路面電車、通称「MAX」は、よく知られた先進事例である。日本の研究者もしばしば研究対象としているが、最大の特徴はダウンタウン地区の一部をFarefree Zone(運賃無料区間)に設定している点にある。自家用車の都心部への乗入れを抑制するだけでなく、徒歩と自転車のモービリティを高めることも目的としている。

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特に、徒歩や自転車の行動範囲の拡大は多種多様な所得層の、多種多様な個人消費を拡大する。特に時間消費サービスを拡大し、町に活気を与える。多種多様な人々を都心に向かわせる仕組みづくりが地域経済を自立的かつ持続可能にするという基本認識が、そこにある。ポートランド市は1980年代から路面電車を中心とする都市政策を講じてきたが、「バイク&ライド」政策は今日中心的な役割を担っている。

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地域経済の自立的な成長や持続に資する都市政策が、アメリカ社会で優先される主要な理由は、州・地方財政の分権性にある。都市部に人々を引き寄せ、地域経済の中心機能を維持し、よって都市部の不動産価値を維持することが、地方政府が発行するレベニュー債(TIF債)の債務管理において最重要課題だからである。つまり、冒頭で述べた全米の主要都市で散見される路面電車の整備拡大の背景には、地方財政ファイナンスを活用した都市政策の展開がある。

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映画『デトロイト』 アメリカ最大のダブルパンチ [アメリカ社会・経済・財政]

映画「デトロイト ー衝撃の実話」が話題になっている。

この映画は、1960年代のデトロイト市での白人社会と黒人社会の衝突や暴動を軸にして、奴隷制の時代に遡る人種問題の根深さだけでなく、当時の司法権とくに合衆国憲法にもとづく連邦司法権の力がアメリカ社会の現実問題に立ち及ばない矛盾を浮き彫りにしている。

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デトロイト市のダウンタウン再開発地区の中枢「ルネッサンスセンター」ビル。世界最大の自動車メーカーGM(ゼネラル・モーター)の本社が構える。

連邦司法の無力さに加え、貧困・格差問題といった経済面での無力さは、デトロイト暴動の半世紀後の2008年の金融危機で露呈する。デトロイトは司法と経済の両面でダブルパンチをくらった、アメリカ最大の「敗北者」にさえ見える。「モーターシティ」の繁栄の歴史が嘘のようである。

デトロイト地域経済の衰退や貧困問題については、渋谷博史・樋口均・塙武郎編著『アメリカ経済とグローバル化』学文社(2013年)、第2章「自動車産業の衰退と大量失業問題 ーデトロイトの事例」で論じているが、映画への注目を背景に、改めて大都市デトロイトの抱える人種・貧困・格差問題がいかに構造的で根深く解決困難な矛盾を秘めているかを感じる。

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デトロイト市内の黒人貧困街に広がる廃墟。

無数の空き家の放置は既存周辺家屋の市場価額の連鎖的な下落を招く。そして地方財産税の減収と行政サービスの質的低下を引き起こしている。こうした黒人貧困街はデトロイト市全域、つまり都市部に集中している。逆に、通称「8マイル・ロード」より以北、つまり都市の郊外地区は豊かな白人社会が広がっている。これはよくアメリカ社会(特に大都市)にみられる居住地区の人種的分断いわゆるセグリゲーションの現実であり、デトロイトはその代表都市の一つなのである。

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地図中の赤線が白人社会と黒人社会の境界線「8マイル・ロード」。2002年の映画「8 mile」も必見。

デトロイトへは金融危機以前から研究調査で訪問し、ヒアリング調査等を行ってきた。市役所、学校区、NPO、大学、自動車部品メーカー等を訪問した中で一番感じることは、1960年代の司法面での敗北も大きいが、2008年以後の経済面での敗北がデトロイトにとって致命的のようである。金融危機の影響はデトロイト経済に甚大なダメージを与えており、その再生は容易ではない。自動車産業の急速な衰退消滅、人口減少、市の財政破綻、地域コミュニティの住環境悪化といった経済面の問題は、民主的な手続きや制度保障では解決しえない別次元の問題と考えるべきである。

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仮に人種問題における司法面での制度・政策が改善・担保されたとしても、その動きとはおよそ無縁に進展するグローバル化や貧困・格差問題があまりにも地球規模的だからである。一国の政府や自治体、司法のなす措置の範囲をはるかに越えている。

デトロイトが浴びたダブルパンチの敗北経験は、その意味でじつに貴重のように思える。
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ハーバード大学、Murnane先生と報告会 [アメリカ社会・経済・財政]

先週、ボストンに出張しました。


ニューヨーク経由でボストンに入り、ハーバード大学大学院教育学スクールのRichard Murnane教授(現在採択中の科研費の研究協力者を依頼)にお会いし、研究成果の一部を報告・意見交換等を行うのが主な目的でした。 Murnane先生のご専門は経済学とくに教育経済学、教育政策、所得と学歴の相関分析、政府による再分配効果分析等で、この分野の世界的権威です。


ハーバード大学に到着。今日はこの門から入りました。 P1180951.JPG


門の上部に、"Enter to Grow in Wisdom"の文字。世界最高峰のハーバード大学だから絵になる言葉、と言ったところでしょうか。

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Murnane先生とは、4年前、長年MIT教授を務めたFrank Levy先生からのご紹介でした。Levy先生については、以前本ブログで紹介しています。Murnane先生とLevy先生のお二人は長期にわたってアメリカ経済の構造的な貧困・格差問題の分析、教育を通じた社会移動の可能性と課題について研究され、共同執筆の著書や論文は多数あります。その読者の一人が私であり、多くの刺激を受けました。


今日の会議室です。

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会議の終わりに、Murnane先生と一枚。秘書の方に撮ってもらいました。

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帰り際、大学キャンパス中央部に位置する「ハーバード・ヤード」という広場に設置された大学創始者John Harvardの像のところへ。来るたびついつい写真を撮ってしまう、なんとも不思議なパワーをもつ像です。

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研究成果は今後の論文でまとめる予定。当該科研費も今年度が最終年度。今後も継続して分権システムのアメリカ教育財政の分析を進め、日本の初等中等および高等教育の財源確保に示唆を提供できればと思います。

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新潟県「小千谷プロジェクト」2年目の継続

昨年度より開始した新潟県の「大学生の力を活かした集落活性化事業」は2年目の継続申請が県に認められました。

今年度は法政大学水野ゼミに加えて新たに新潟大学松井ゼミ(都市計画・デザイン論)も加わり、3大学合同で開始しました。8月20日から2泊で現地に入りました。

ミッションは昨年度同様、小千谷市真人町の中心部に位置する「真人ふれあい交流会館」の再生・利活用アイデア提案。昨年の成果をもとに今年度の目玉は「住民寄贈・住民参加型メッセージ付き地域ライブラリー」なる地域の中心性を果たす空間造りの準備を進めています。

3大学の学生でじっくりミーティング。水野先生を中心にコンセプトやスケジュールを確認。
学生はみな真剣勝負ですね。
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そして「手作り本棚」の制作。地元職人さんを講師に呼んでみんなで作業。
もちろん学生が中心になって地域の子供たちと一緒に「手作り本棚」を制作。
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「手作り本棚」が配置された地域ライブラリー空間が誕生した瞬間。2年越しの格別の思い。
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いよいよ、子供とお母さんたちを呼んでお披露目会と意見交換。
学生は熱心にお母さんたちにヒアリング調査を行い、どうやったらこのスペースを使ってもらえるか、8集落ある真人町に賑わいや世代間交流を生みだす空間になれるか。地元の真人小学校は廃校になったがその代替機能あるいはそれ以上の機能を果たせないか。などなど。
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最後に、学生、教員、地元自治会長と復興支援員と記念撮影。学生の「生きたチャレンジ」は続く。
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4大学チームが「学生目線の地方創生」シンポジウムでアイデア提言

去る7月21日、「第3回 人口減少時代のまちづくり ~学生目線の地方創生~」シンポジウムが大月短期大学「岩殿ホール」で開催されました。

学生200名、一般20名ほど参加者する中で、4大学チームが各々、大月市のまちづくりの将来を見据えながら課題整理とアイデア提案をセットでプレゼンしました。また大月市の副市長、まちづくり創生課長も登壇いただき総評・コメント等を頂きました。

東大、法政大、大月短大A、大月短大Bの順でプレゼン発表しました。
まず東大から。
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次に、法政大。
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大月短大A。
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最後は大月短大B。
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以上を踏まえて、パネル討論へ。
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最後に石井副市長による総評。
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最後に私から閉会の言葉(総括)。
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まちづくりに「答え」は存在しません。唯一「答え」なるものをいえば、それは「具体的に考え、行動する」ことかと感じます。プレゼンを行う個々の学生の横顔をみながら、企画者・司会者として実感しました。

最後に、全員で記念撮影。お疲れ様でした。
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シンポジウム「学生目線の地方創生」開催のご案内 [塙ゼミの研究活動]

今年で3回目となる、大月短期大学一般公開シンポジウム「第3回 人口減少時代のまちづくり」開催のご案内です。下記ポスターをご覧ください。

     日時 2017年7月21日(金)16:15~18:00(開場15:45~)
     場所 大月短期大学L号館2階、L200教室「岩殿ホール」

今年のテーマは「学生目線の地方創生」です。
大月市内外から3つの大学チームをパネラーに迎えて、学生目線から大月市の今後のまちづくりの方向性や具体アイデアを提案します。市当局にも出演いただき意見交換等も行います。

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一般の方もご参加できます(座席の関係上、概ね先着10名迄とします)。必ず事前に大月短期大学事務局教務学生担当(0554-22-5611)までお電話でお申込みください。
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東大ジョイントゼミ [塙ゼミの研究活動]

毎年恒例となった塙ゼミの「東大ジョイントゼミ」も今年で4年目を迎えました。
去る6月16日、東京大学法学部および経済学部4年の3名を塙ゼミに招いて、まず大月市内の現地視察を行い、その後大学で塙ゼミ生との勉強会。彼らは早いもので4年生になりますが、1年生の時に福島県柳津町での現地調査に参画してもらったとき以来の付き合いで、久しぶりに再会。

今回のテーマは2つ。
一つは東大生が担当しましたが、2年前から進めている奥会津・JR只見線沿線5町村の地域活性化のための基礎調査。もう一つは塙ゼミ生が担当したJR大月駅を中心とする再開発・活性化の基礎調査でした。

まずは塙ゼミ生の発表。大月市の街に「中心性と回遊性」を生み出すことを念頭に、JR大月駅周辺の再開発の基本的方向性・立地適正化の具体アイデア整理や、余暇を市内で過ごし学生と市民の世代間交流の拠点としての学生経営の「地域カフェ」開業に向けた基礎調査・可能性についてプレゼン。
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次に東大生による奥会津の活性化に向けた基本的考え方、アイデアの具体をプレゼン。
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ゼミ終了後、大学エントランスで記念撮影。
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その後、駅前に場所を移して皆で食事会をして終了。
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このジョイントゼミの研究成果は、来る7月21日(金)大月短期大学「岩殿ホール」で開催されるシンポジウム「第3回人口減少時代のまちづくり ~学生目線の地方創生で大月市を再生」で発表されます。
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「サウス・ブロンクス地区」の親子 [アメリカ社会・経済・財政]

巨大都市ニューヨーク。ブルックリンブリッジ越しにみるマンハッタンのスカイラインは迫力があり、アメリカ社会の豊かさを象徴する。
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しかし、そのマンハッタンを南北に縦貫する大通り「パーク・アベニュー」(Park Ave)は豊かさの裏側の世界を浮き彫りにする。パークアベニューをずっと北上し、ハーレム川を渡るとマンハッタンからブロンクスに入る。そこは「サウス・ブロンクス」と呼ばれる地区である。
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サウス・ブロンクス地区は「ニューヨーク最大の貧困街」の異名をもつ。ニューヨークヤンキースの本拠地もあるが、そこは貧困地区であることはあまり知られていない。数十億円という目がくらむような年俸を稼ぐヤンキースの選手とは無縁の世界である。まさに豊かさと貧しさの同居するニューヨークとはいったい何なのか。サウスブロンクスの現場に立つと、政府の果たすべき役割や政策はどうあるべきかを考えさせられる。

この日、私が研究調査でヒアリングを行ったのは、サウスブロンクス地区、186丁目にあるニューヨーク市立 第132公立小学校(Garret Morgan)である。同小学校の生徒の学力は低く、また出席率も低い。
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ただ、ヒアリング調査を通じて示唆に富むのは、草の根の地方自治を盾に住民参加の学校運営や公民連携事業等を推進して課題解決に「前向き」である、ということ。学校・両親パートナーシップの担当ディレクターによれば、特に民間組織との連携事業を中心に生徒の学力や親の学校参加の向上を図っている。ディレクターいわく「その成果はすぐには出てこないことは私達もよく知っている。でもその努力がこのサウス・ブロンクスには必要なんです」と。
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ヒアリング調査が終わりマンハッタンの宿泊先ホテルに帰るバス車内、母子を見かけた。物静かで真面目そうな母とその息子。ジェニファー・ロペス主演の映画『メイド・イン・マンハッタン』のシーンとそっくり。
サウスブロンクスの教育はもしかすると「強靭」なのかもしれない。
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新潟県庁で「成果報告会」に臨む [塙ゼミの研究活動]

3月13日、新潟県庁において新潟県の「大学生の力を活かした集落活性化事業」の最終の成果報告会が、12の参加大学すべてが集まる中で開催されました。各大学20分のプレゼン発表とそれに対する質疑・コメント等を行うものでした。

塙ゼミは、学術交流のある法政大学の水野雅男教授ゼミとの合同チームを結成し、新潟県小千谷市にある「真人町」8集落の現地調査や活性化のための社会実験を実施しました。地域住民との深いつながりをゼロから構築することから始め、その意味で基礎調査に徹する形で根気よく進めてきました。7月から2月まで合計6回、泊まり込みで現地に入って調査等を行いました。

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そうした1年間の活動の成果発表とあって学生も力が入っていました。プレゼンは、水野ゼミの高橋君、塙ゼミの金丸君の2名が担当し、立派に報告してくれました。

プレゼン直前の緊張の様子。最後の打合わせ中。
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いよいよ「法政大学・大月短期大学」のプレゼン開始。
我々は、最後から2番目でした。
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プレゼン後、コメンテーター2名との質疑応答。
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最後に、我々の受入れ先である小千谷市真人町の協議会長、瀧澤氏よりコメント。
我々の活動を高く評価して頂き、ぜひ来年度も「継続」してほしいとの評価を頂きました。
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そしてすべての大学のプレゼンが終了。朝から夕方まで長丁場でしたが、学生にとっては他大学との質疑応答や意見交換を通じて、学内に閉じこもっていては絶対に得られない地域リアリティの中で刺激と緊張を体感したことに間違いありません。学術交流、他流試合とは本当にいいものです。

2名の学生は近日中に「成果報告書」を仕上げ、県に提出することになっています。ぜひ来年度も「継続」となってほしいものです。
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マイアミ・デイド学校区 [アメリカ社会・経済・財政]

この夏休みに科研費の研究の一環として、フロリダ州の大都市マイアミにある「マイアミ・デイド学校区」を訪問し、資料収集・現地視察・ヒアリング等を行いました。アメリカの地方自治の原型ともいわれる「学校区」の財政研究を始めてから15年ほど経過し、その間、ほぼ全米に及んで数多くの学校区を訪問してきましたが、フロリダ州は今回が初でした。

マイアミビーチ近くの幹線道路。アメリカ有数のリゾート地としてコンドミニアムが立ち並ぶ。
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マイアミ市のダウンタウンにある、マイアミ・デイド学校区のオフィス玄関。
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オフィスに入って「財政管理局」に着きました。この後、2名の方と30分ほどヒアリングを行いました。
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私の科研費のテーマは、学校区の発行する「一般財源保証債」(General Obligation Bond)の信用担保に関する研究です。マイアミ・デイド学校区は生徒数が全米第4という規模の巨大学校区であり、またヒスパニック系が生徒の大半を占めています。その意味で教育需要は本来高いにも関わらず、財政力が弱いために債券の発行が制約されているのが現状です。

それでも、なぜマイアミ・デイド学校区は一般財源保証債を発行可能にしているのか、その信用担保の獲得に何が大きく寄与しているのか。これが私の研究テーマの中心課題です。その答えは今後論文として整理するとして、ここでは視察した小学校の様子を紹介します。

さて、小学校の前に設置された学校改修事業を示す看板。
興味深いのは”General Obligation Bond”、つまり「一般財源保証債」という文字と資本投資額がしっかり示されている点。住民投票で過半数をえて行った借金によって、どの学校にどのくらいの資金を投入しているかが、この看板に示されています。
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こちらの小学校にも、やはり同様の看板が設置されてます。
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草の根の地方自治、地方財政の象徴ともいえるアメリカの学校区の財政システムは、透明性と規律と自立を基本としています。この看板はまさに地域の納税者に対して、その地方財政の基本が実践されていることを物語っています。
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「住友生命×浅田真央 YOUNG JAPAN ACTION」奨励賞を受賞しました

この度、福島県の地域活性化事業である「奥会津・只見線沿線5町村活性化」プロジェクトが、平成28年度「住友生命×浅田真央 YOUNG JAPAN ACTION」の奨励賞を受賞しました。全国から多数の応募があったなかで、今回は大賞が2組、奨励賞が8組が選考されました。浅田真央さん、舞さん姉妹も選考に加わっていただいたみたいです。

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<会津大学短期大学・高橋延昌先生作成>

「住友生命×浅田真央YOUNG JAPAN ACTION」ウェブサイトへ。

会津大学短期大学部の高橋延昌先生を代表とする4大学(会津大学、拓殖大学、東京大学、大月短期大学)合同によるフィールド調査・地域活性化への政策提言プロジェクトとして昨年から実施してきた活動が評価されました。
いよいよ来年度が3年目の集大成の年となりますが、塙ゼミの学生には先輩に続いてぜひ頑張ってほしいです。


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奥会津合宿(4大学合同) [塙ゼミの研究活動]

塙ゼミは昨年に引き続き、福島県(奥会津振興センター)による奥会津・只見線沿線5町村の地域活性化事業(3カ年事業)に加わり、4大学合同で現地調査等を行いました。

今回も、会津短期大学の高橋昌延先生ゼミを中心に運営され、会津大学、拓殖大学、東京大学、大月短期大学の各大学からゼミ単位で現地調査に基づく現状や課題の整理を報告、アイデア提案を行いました。

大月短期大学・塙ゼミの学生(2年生)です。
新潟県、JR小出駅前で。ここから只見線に乗って只見駅まで北上。
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東大から3人が参加。
彼らはみな1年生の時に私の講義を受講した学生たち。今はもう4年生。
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只見線の車窓から。
現在不通となっている「只見ー会津川口」間の復旧に向けて。
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只見駅に到着。
ここから不通区間となるため、バスに乗って会津川口駅へ移動。
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翌日、会津大学を会場に各ゼミから基礎調査発表を行いました。
大月短期大学の塙ゼミは、ブナ資源を利活用した温泉旅館「1泊滞在」の効用最大化を売りとしたアクティビティ・モデルを提案しました。まだ基礎調査の段階ですが、「非日常」をどれだけ1泊で満喫できるかという視点から提案しました。周辺に自生する貴重なブナの葉を利用した肉類の燻製造りを親子で体験することをメインに、沼沢湖での釣り、そして旅館での温泉を組み合わせたものです。一見単純なコンテンツのようですが、その地域資源をどう生かすかは、我が国ではまだまだ研究が不十分です。

そして先日、大学に帰ってきて塙ゼミの中心メンバーでの反省会では、さらに追加のアイデアも出てきました。その一つが、旅館の「チェックアウト後の最大フォロー」というものです。何が旅館から提供されたら当該宿泊客はブナ燻製造りや釣りに参加しようと思うか、という問題意識で出てきました。この詳細は、12月の拓殖大学で開催される最終報告会で披露してもらう予定です。

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新潟県小千谷市真人町での集落調査(3泊の合宿) [地域再生・まちづくり]

8月17日から3泊の日程で、法政大学の水野雅男先生ゼミと塙ゼミの共同による新潟県小千谷市真人町での集落調査を終えました。現地に入るのはこれで2回目とあって、真人町の方々との関係を徐々に構築しながらの、意義深い調査となりました。

3泊を通して学生の移動手段は自転車。現地で用意して頂きました。
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猛暑の中、学生は汗ダラダラで地形図を片手に一軒一軒個別に訪ねて、ヒアリング調査を重ねました。小高い丘の上にある集落にも汲まなく回るため、急な坂も自転車で上りました(下りは最高)。教員としては「研究も最後は体力。体力あっての研究」と激励し、学生が調査中にスーパーに買い出し、食事を作ってあげるほか何もできません。もちろんミーティングで助言等は行いますが。

それもそのはず。
この新潟県の集落活性化事業の名称が「大学生の力を生かした集落活性化事業」とあって、学生が自らの体と頭を使って主体的、能動的に集落を調査し、課題を分析し、政策提言を行うことに価値があるのです。学生同士、役割分担をし、地域の方々を招待してワークショップ(真人みらい会議)等を開催するなど精力的な活動には目を見張るものがあります。すべて学生のアイデアです。

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人口減少の著しい小千谷市真人町の子育て世代を中心とする若年層との意見交換、信頼関係をいっそう深めながら、彼らの集落コミュニティへの誇りや「生活値」は何であるのか、この先15年後「真人町」という集落をどういう生活空間にしていきたいのか、子供に残したいのかを具体的に知る必要があります。そのためにも、ゼミ生にはもっと汗をかいてもらいものです。
次回の現地調査は、10月1日から2泊の日程です。
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第2回人口減少時代のまちづくり講演会(報告) [地域再生・まちづくり]

2016年7月22日(金)6限、大月短期大学C201教室を会場にして一般公開「第2回人口減少時代のまちづくり講演・パネル討論会」を開催しました。
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昨年に引き続き、学生は勿論のこと、一般市民の方々、市役所幹部職員ほか大勢の参加者で会場は満員御礼となりました。

第1部の基調講演では、水野雅男法政大学現代福祉学部教授が「街を動かす市民活動」という講演テーマで講演されました。水野先生は、金沢市等での自ら関わってきた老朽化した家屋の改修プロジェクトやその手法を詳しく説明されました。現場重視の先生の豊富な経験や見解を提示しながら、また動画も交えながらの説明には迫力と説得力がありました。

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続いて第2部はパネル討論会。ここから総務省自治行政局地域自立応援課係長の後藤勝氏にも加わって頂き、私の司会のもとで進めました。まず冒頭で後藤氏より、地域おこし協力隊の現況を踏まえ個別の注目すべき自治体でのまちづくりの事例をピックアップして頂き、特徴などを整理していただきました。
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そしてパネル討論へ。地域づくりの担い手や資質のあり方、その支援体制として重要なことは何か、という論点を掲げてパネリストから意見や補足等を頂きました。終始一貫、各パネリストから地域レベルで湧き上がる市民主体の発動や行動、外に開かれた組織づくりの重要性が指摘されました。

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最後にフロアとの意見交換・質疑応答。大月市の地域おこし協力隊の方、学生等から質問が出て、パネリストの方が丁寧に補足説明などを行ってくれました。
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塙ゼミの学生は会場受付や誘導、アナウンスなど手伝ってくれました。学生にとっても貴重な経験になったと思います。お疲れ様でした。


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塙ゼミ今年度の研究課題(3つの自治体での現地調査) [塙ゼミの研究活動]

今年度、塙ゼミは忙しい。

塙ゼミとジョイントゼミで交流のある法政大学現代福祉学部教授・水野雅男ゼミと共同の研究調査として、今年度は下記の3つの地方自治体から委託を受け、集落活性化のための現地調査や実践的な政策研究を進めています。

1.新潟県「大学生の力を生かした集落活性化事業」採択、小千谷市での現地調査
2.福島県「奥会津5町村地域活性化デザイン」による奥会津での現地調査
3.山梨県富士河口湖町「本栖湖みらいプロジェクト」(総務省「過疎地域等集落ネットワーク圏形成支援事業」による現地調査等)

上記の3プロジェクトは全て、県または町が旅費等の経費を負担してくれる委託型の調査事業です。1と3は、法政大学水野ゼミとの共同調査、2は会津大学短期大学部の高橋延昌ゼミや拓殖大学との合同調査です。

1の「新潟県・小千谷プロジェクト」では、つい先日第1回目の現地調査(1泊)を実施したところです。学生は「人生初の」フィールドワークでしたが各々問題意識をもって積極的にヒアリング調査等を行いました。そして先週のゼミでは、1年生のゼミ見学者も参加する中で、現地調査の成果や課題を報告してもらい、皆で共有し、次回に向けて課題を整理するなどしました。さらに今後、3回にわたって小千谷に入って調査を進めます。


今回、宿泊先として提供していただいた小千谷市真人地区にある「空き家」。空き家といっても電気、水道、キッチン等の生活インフラは完備。
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さっそく市役所や町内会など地域の方々との顔あわせ、自己紹介、概況整理を行いました。
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今回、小千谷市(真人地区)側からの要望として、集落活性化の拠点として位置づけられている「真人ふれあい交流館」。中に入って視察すると、1階には立派な厨房とレストラン空間、2階には100名以上収容できる大広間もある施設。現在は月2回だけ農家レストランとして開館。
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その「真人ふれあい交流館」すぐ隣に立地する「真人温泉」。この地区最大の集客施設だったが、3年前に廃業。この廃業にともなって当交流館も閉鎖、現在にいたる。
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この施設を、そしてこの地域全体を、どう「再生」させるか。学生の「感性」でその答えを是非出してほしい。
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「第2回 人口減少時代のまちづくり」一般公開講演会のご案内 [塙ゼミの研究活動]

大月短期大学(塙ゼミ)では、昨年に続き「人口減少時代のまちづくり」一般公開講演・パネル討論会を開催します。本学学生のほか一般の方々も無料で参加できます。質疑応答の場も設けますので、是非ご参加ください。

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今年のテーマは「地域づくりの担い手と支援体制」です。基調講演者には金沢市など数多くの地域で市民主体のまちづくりの現場に詳しい法政大学現代福祉学部・水野雅男教授を、またパネル討論では総務省自治行政局・地域おこし協力隊理事官の中村俊介氏をお招きします。プロフィール等はポスターをご覧ください。

人口減少時代において衰退を余儀なくされる地方都市にあって、誰がまちづくりの担い手となるべきか、日本の様々な事例を交えながら、学生や一般の方々と一緒に考えます。
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水野ゼミ×塙ゼミ「大学生の力を活かした集落活性化事業」に採択 [塙ゼミの研究活動]

 この度、集落活性化を目的として年間延べ10日間以上の現地滞在と調査研究や政策提言を、大学の研究室(ゼミ)に委託するという新潟県の事業「平成28年度 大学生の力を活かした集落活性化事業」に採択されました。
 ジョイントゼミで交流のある法政大学現代福祉学部の水野雅男教授ゼミと合同で申請したものが今回、採択されました。私たち水野ゼミ×塙ゼミは早速、新潟県の内陸部に位置する小千谷市に入り、現地の方々と交流やヒアリングをしながら調査研究を始めます。なお今年度は新規8件、継続4件という採択結果だったようです。

新潟県「平成28年度 大学生の力を活かした集落活性化事業」採択大学一覧はこちらへ

 塙ゼミは、財政学や地域政策論をベースに地方経済や地域コミュニティ活性化、過疎問題を含む集落活性化を共通の研究テーマとしており、今回の採択は大変貴重な機会となります。フィールドで通用するタフな人材、現実感覚と行動力のある有能な人材の養成を一層目指したいと思います。
 早速、塙ゼミでは、リーダー学生を中心に2グループに分かれ、小千谷市について様々な角度から下調べを始めています。意欲満々です。学生の主体的な調査力、行動力に期待しています。
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ニューヨークの地下鉄、アッパーイーストの再開発 [都市交通]

巨大都市ニューヨークを、文字通りその地盤から支える地下鉄システム。その地下鉄の路線網の拡大は、まさに成長著しいニューヨークの今を映し出します。

現在進行中の地下鉄MTA「Q」線の延伸工事はその象徴です。Q線はニューヨークのクイーンズ区、マンハッタン区、ブルックリン区をつなぐ主要路線の一つで、ニューヨーク最大の観光スポット「タイムズ・スクエア」駅を擁します。通勤通学はもちろん世界のインバウンド観光客が利用するこのQ線は現在、「96st」駅まで延伸する大規模工事を進めています。
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ニューヨーク市でも都市再開発の著しい「アッパーイースト」地区はミドル層が多く、彼らの多くは自宅近くでまずバスに乗り地下鉄4、5、6線に乗り換えて通勤するのが一般的でしたが、このQ線の延伸工事が完了すれば、アッパーイーストからウェストサイド、ミッドタウン等への通勤が飛躍的に改善されます。

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この日、工事の進捗状況等を視察した際にお世話になった現場監督者の方です。
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大都市ニューヨークの成長と利便性追求を象徴するこの地下鉄Q線の延伸工事は、ニューヨークが抱える大きな内政課題も含んでいます。次回はその課題について書いてみます。

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第54回大月市生涯学習推進大会のお知らせ [地域再生・まちづくり]

第54回大月市生涯学習推進大会が、下記のポスターの通り開催されますので是非ご参加ください。私は、シンポジウムのコーディネーターを担当させていただき、3名のパネラーとのディスカッション、フロア会場との意見交換等を行います。

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今年のテーマは「見つめよう!地域の力 ~粋な心で豊かな暮しを」です。地域の問題としてますます重要性をます福祉・介護の分野にスポットをあてて、行政や事業者、地域の活動団体の取り組みを通して、一人一人が自分と向き合い、自分に何ができるか、地域で何ができるかを考えます。

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AASA(全米学校区長協会)カンファレンスへ [アメリカ社会・経済・財政]

今年のAmerican Association of School Administrators(AASA)の年次カンファレンスは、2016年2月11日から13日にわたって、アリゾナ州フェニックスで開催されました。AASAすなわち「全米学校区長協会」は1865年に創設された老舗の協会で、全米14000以上の学校区から学校区長(superintendent)が集まり、アメリカの公教育(初等中等教育)の制度・政策の現状と課題、教育サービスの質的向上、生徒の学力向上を目的としている。

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今回フェニックスで開催された年次カンファレンスは、学校区長をはじめとする学校区の関係者に加え、州政府職員、大学の研究者、教育行政の官民協働にかかわる企業やNPO組織等も参加し、研究プレゼンテーションや質疑応答を行います。

カンファレンス会場にはアメリカの教育市場に関わる各企業がブースを出します。全米から集まった学校区長に自らの教育商品をアピールするためです。教材、ソーシャルメディア機材をはじめ、通学バス、学校給食にいたるまで、公教育システムを取り巻く様々な分野の企業がカンファレンス参加者を出迎えます。私もすべてのブースを回り、色々と情報交換を行うことができました。
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徹底的に分権化されたアメリカ初等中等教育システムにおいて、学校区長の権限は強大です。もちろん学校区の最高決議機関は、公選で組織された教育委員会、つまり地域住民です。しかしその教育委員会も教育行政の専門知識や全米ネットワークをもつ学校区長の存在を必要不可欠としているのが現実です。教育の地方自治や民主主義は知識や技術を前提としているといったところです。

次にブース展示場を離れ、各セッション会場に行きました。いくつのセッションに参加しましたが、教育サービスの質的向上を図る手段や政策のあり方を、アカデミックというよりは実践的な視点からのケーススタディが中心になります。なんともAASAらしいカンファレンスの雰囲気を味わいました。

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上の写真のセッションでは、私の研究関心のある教育政策形成の管理プロセスをテーマとしていました。最後の質疑応答では私も挙手し、フロア質問をさせていただきました。その内容は来年度の講義やゼミで紹介したいと思います。
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法政大学「水野ゼミ」とジョイントゼミ [塙ゼミの研究活動]

先日、法政大学(多摩キャンパス)にお邪魔して、現代福祉学部教授・水野雅男先生のゼミとジョイントゼミを開催しました。地域経営まちづくり・地方自治を共通テーマとして水野ゼミ、塙ゼミ各々から学生が普段の研究成果をプレゼンし、質疑・意見交換を通じてお互いに刺激を得ました。

まず、地元のJR大月駅で集合写真。
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電車に乗って西八王子駅まで行き、そこから法政大学行のバスに乗る。
そして法政大学(多摩キャンパス)に到着。
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現代福祉学部棟に入り、水野ゼミの会場へ。
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まず水野ゼミの学生がプレゼン。インターンシップ先での調査に関する報告をされました。現場から吸い上げた様々な課題を整理し、最後に提言を示されました。
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次に塙ゼミ代表として、工藤君がプレゼン。
長野県白馬村の地方財政を分析しながら、まちづくりの発展に求められる景観規制や土地利用の課題を整理しながら、地域経済の成長の重要性をプレゼン。
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最後に、両ゼミそろって記念撮影。まちづくりや地方自治を共通テーマに、学際的で刺激的なジョイントゼミでした。今後も継続します!
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「桂川・相模川流域協議会 2015年度シンポジウム」コーディネーターとして参加 [財政問題]

去る12月6日(日)午後、「桂川・相模川流域協議会 2015年度 第21回シンポジウム」が大月市民会館で開催されました。

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私も今回、地元でのシンポジウム開催とあって、第2分科会「環境省の取組みと水源環境保全税(神奈川県)、森林環境税(山梨県)について ~私たちの税金の使い方を知ろう~」のコーディネーターとして参加させて頂きました。同分科会では環境省、山梨県、神奈川県から3名のパネリスト、学生を含むフロアの市民の方々との意見交換を行いました。石井大月市長も分科会に出席され、意見を述べられました。

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分科会は、会場に入りきれないほどの参加者の熱気であふれました。いわゆる「環境税」に関する両県の市民の問題意識の高さ、特に「県」という行政バウンダリーを超えた、水源から海までの「流域」という視座で今後どのような形で財源を確保し、政策を講じるべきか、という問題意識が高いことを改めて確認しました。現行では山梨県が「森林環境税」を、神奈川県が「水源環境保全税」をそれぞれ法定外目的税(超過課税)の形で課税しています。人口や資本の地域偏在等の理由により、両県の税収規模には大きな差があります。しかし行政の枠を超えた市民主導の「流域ガバナンス」なるものをどう構築し、「水」という自然資本をどう継承するかという問題意識の点では、両県とも共通しており、森林・河川保全体制の先進モデルといえます。

じつは、本学の学生も、シンポジウムの会場準備・運営の裏方として大変頑張ってくれました。私が担当する「地域実習」科目の受講生です。学生にとっていい経験になりました。

シンポジウム終了後、ステージに設置されたパフォーマンス用の薪を片づけ。女子、男子関係なく力仕事に取り組んでくれました。
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そして最後、シンポジウム関係者と学生みんなで記念撮影。お疲れさまでした。
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JR只見線沿線自治体(奥会津・5町村)地域活性化フィールドワーク [塙ゼミの研究活動]

9月5日と6日の日程で、JR只見線を擁する福島県奥会津エリアを研修フィールドとして、現地と首都圏の4つの大学の学生が集まり、学生が主体となって地域活性化に資する目的でプレゼン発表、県や町村職員、住民との意見交換、現地視察を中心にフィールドワークを行いました。福島放送(KFB)の密着取材を受けながら行われました。

JR只見線は、2011年の豪雨災害により一部不通となっており、現在も復旧のめどは立っていません。現地ではその復旧を要請する声が高まっている中で、今回私たちはどのようにしたら只見線の復旧を含む奥会津エリアの地域活性化を実現できるかを検討しました。

参加した大学は、会津大学短期大学部、東京大学、拓殖大学、大月短期大学の学生(全44名)、そして教員(6名)。デザインを専門とする学生と、経済学を専門とする学生が集まって地域活性化の可能性を具体的に探りました。主催の福島県(奥会津振興センター)や町村職員の方々がきめ細かいコーディネートをしてくださいました。

フィールドワークは柳津町(円蔵寺)から開始。次に、三島町にある「道の駅」では、この只見川の空中を飛ぶように走る橋梁の絶景を眺めました。霧がかかっていると、ベストショットだとか。
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実際にJR只見線に乗車。福島放送による学生へのインタビューも本格的に。
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不通区間となっている一番端の駅で下車。ここから、また貸切バスに乗って宿泊先のホテルへ移動。
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ホテル到着後、すぐに各大学ごとにプレゼン発表が始まりました。
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プレゼン発表前に、まずは参加学生同士、自己紹介、コミュニケーション。
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いよいよ大学ごとのプレゼン発表開始。トップバッターは大月短期大学、塙ゼミの学生!
滞在時間を可能な限り長くするためのアイデアを提示。
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次に東京大学のプレゼン。「観光利用」としての只見線の復旧シナリオを具体的に提言。
全国の観光列車の事例を引きながら、只見線の可能性を徹底的に探る。
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最後に全員で、昭和村「からむし工芸博物館」前で記念撮影。
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学生のみなさん、お疲れ様でした。
そして福島放送のクルーのみなさん、福島県や町村職員の方々にはお世話になりました。
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(報告)一般公開講演会「人口減少時代のまちづくり政策」@大月短期大学 [塙ゼミの研究活動]

6月12日、大月短期大学・C201教室を会場に、岡崎昌之法政大学名誉教授を基調講演者にお迎えして、一般公開の講演会「過疎高齢化を越える新しいまちづくり」を開催し、盛況のうち無事終えました。学生はもちろん大月市役所の幹部職員や担当職員の方々、そして大月市の一般市民の方を含め、総勢180名が参加しました。

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まず基調講演では、主として岡崎先生の長年の研究テーマの一つである「集落」の視点から、今後のまちづくりの方向性が語られました。「人間」が実際に生活をする空間としての集落の意味とその重要性について、国内外の事例を踏まえながら話が深まりました。岡崎先生が実際に過疎自治体に入り込んで政策立案や運営に関わってこられ、その豊富な経験に裏打ちされた説得力ある内容でした。講演後半は、時間の関係で事前に用意された多数の現場のデジカメ画像を見ることができませんでしたが、それでも参加者全員がその強いメッセージ、インプリケーションを得ることのできた貴重な講演会でした。

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そして講演後は「質疑応答」の時間を設けました。学生、一般の方々から岡崎先生に直接質問をする貴重な時間でした。

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最後に、岡崎先生から参加者や大月市への直筆のメッセージをもらいました。「”地域”こそ基本!!」とのこと、奥深い、重みのあるメッセージでした。

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終了後、参加者から提出されたアンケート用紙をつぶさに拝見しましたが、参加者の方々が大月市という地方都市の今後の再生に強い問題意識があることが改めて浮き彫りになりました。今後も引き続き、人口減少や地域再生をテーマにした講演会の場を提供しながら、大学での研究成果を具体的に地域コミュニティに生かす体制や発信チャンネルを強化したいと思います。そして何よりも「社会と政策のリアリティー」を学生とともに研究し、行動したいと思います。

最後に、講演会の準備や当日運営まで、塙ゼミの学生が主体的に手伝ってくれました。ありがとうございました。
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一般公開講演会「人口減少時代のまちづくり政策」@大月短期大学 [塙ゼミの研究活動]

大月短期大学の塙ゼミ(財政学・地域再生まちづくり論)では「人口減少時代のまちづくり政策」という総合テーマのもと、第1回講演会を大月短期大学で開催します。受講料無料、一般公開です。フロアとの質疑応答も予定していますので、ぜひご参加ください。

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講演者  法政大学名誉教授 岡崎昌之 先生(地域計画、地域経営、まちづくり)
       「過疎高齢化を越える新しいまちづくり」

日 時  2015年 6月12日(金) 16:15~17:45
場 所  大月短期大学 C301教室(C棟3階)
対 象  本学および他大学生のほか、自治体職員、NPO法人運営者など一般の方。 
※一般の方については、会場座席に限りがあるため、事前申込(お電話)をお願い致します。
(お電話) 大月短期大学事務局 0554-22-5611

岡崎昌之先生は、これまで中山間地域や離島を含む日本全国の過疎地域(基礎自治体)で事例調査や自治体職員への助言等を行ってきた、草の根的なまちづくりのエキスパートです。岡崎先生の経歴は、上記のポスターを拡大クリックの上、ご覧ください。
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共通テーマ:学問

論文「北海道倶知安町におけるグローバル不動産投資と自治体経営」 [著書・論文]

先日、大月短期大学紀要『大月短大論集』第46号(2015年3月)が発行され、拙稿「北海道倶知安町におけるグローバル不動産投資と自治体経営」が掲載されました。

北海道倶知安町は日本有数のスキーリゾートである「ニセコ」を擁する自治体です。その倶知安町は、今や注目すべきグローバル不動産投資に湧く自治体の一つです。オーストラリアや香港の外国資本による不動産投資が活発化し、特に2002年以降、大型高級コンドミニアム建設や一戸建て別荘建設が進んでいます。冬期スキーシーズンを中心に大勢の外国人スキー客が1週間単位でコンドミニアム等に滞在し、にぎわっています。先日、国土交通省が発表した「地価公示」でも、この倶知安町の地価上昇が注目されていました。

本稿は、第1に、そうした不動産投資が活発化した2000年以後に人口増加トレンドを確認し、第2に、不動産投資による土地および上物の市場価額上昇にともなう倶知安町の固定資産税(自主財源)の増収インパクトが2008年以後に確認される点を明らかにしました。特に人口減少に一定の歯止めがかかったことの主要因に、グローバルな不動産投資ビジネスの高まりがあり、これは今後の自治体経営の発展モデルとして注目すべきと、主張しました。

倶知安町総務部総務課財政係の方にはデータ提供等でお世話になりました。この場でも御礼を申し上げます。


地方創生、経済産業省の「ローカルマネジメント法人」を考える(その2) [地域再生・まちづくり]

 1月29日に書いたブログ「地方創生、経済産業省が「ローカルマネジメント法人」(仮称)を検討」のシリーズ続編です。

 その前回ブログでは、「株式会社に近いかたちで法人格を付与することは、有効な手段である。少なくとも公共性の名の下で市場メカニズムを排除することは、今後の地方経済の再生を考えると、衰退をみずから招くことにほぼ等しい。」と書きました。

 反復になりますが、そう書いた背景には、公共部門であれ民間部門であれ人々の暮らしを支える豊かな地方経済の持続発展には、市場経済的なネットワークへの「アクセス力」が必要不可欠であって、その「アクセス力」は今やグローバルな範囲に広がっているという基本認識があります。地方自治体や地域レベルでの豊かさや持続発展は、地球規模での資本や人材の市場経済ネットワークに自らアクセスし、調達するためのチャンネルや魅力をどれだけ豊富に提示できるかで決まると考えられます。航空行政の規制緩和「オープン・スカイ」ならぬ、「オープン・コミュニティ」という感じです。

 つまり、日本の人口減少や地方創生をめぐる諸問題は、今や「内政課題」ではなくグローバルな視野での「外政課題」として捉えるべき時代といえます。むしろそう考えたう上で、各自治体ごとにアイデアを集約実践することにより、人間社会の基盤としての地方経済や地域コミュニティを豊かにする可能性や政策を引きだせます。国も、そうした考え方に立って地方自治体の政策立案や実践体制を支援することが重要といえます。

 とすれば、前回ブログで取り上げた経済産業省による「ローカルマネジメント法人」の政策理念や枠組は、注目すべき第一歩です。もちろん一気に「外政課題」としてグローバルなステージで勝負するのは厳しいので、従来のように「内政課題」として捉え、国の支援をいい意味で原動力にして地方経済や地域コミュニティがより多くの選択肢を得られるようにすべきです。公共部門における法人格付与は、意欲のある自治体が、国からの財政支援を信用担保の一つに組み込む形での財政資金の調達を可能にし、自由度の高い公共サービス提供体制を構築できる可能性を秘めています。

 そこでアメリカの事例を考えます。
 アメリカでは、公共部門に対しては元来「小さな政府」という社会的制約があります。また州や地方政府レベルでは「均衡財政」を基本原則とし、さらに日本の地方交付税交付金のような国による財政調整制度が存在しません。したがって日本と違ってアメリカでは地方経済や地域コミュニティの持続発展は常に民間主導にならざるをえません。しかしそのアメリカ的な制約や財政ルールが、法人格付与による、市場経済メカニズムを活用した、規律と自立の地域政策を生み出す環境形成につながっています。

 その象徴が、州が、地方政府に付与する法人格です。
 アメリカの地方政府は法人格を付与されているincorporatedと、それが付与されていないunincorporatedに分類されますが、前者は地方政府としての強い独立性を有する法的根拠としての法人格付与であり、独立性を有する反面、いわゆる財政破綻のリスクを負います。最近ではデトロイト市が事例にあります。

 またアメリカでは、一般行政を担う市やカウンティだけでなく、州立大学や交通公社(anthority)にも法人格を付与し、目的税の課税権を委譲したり、資源配分や資金調達の自由度を与えるのが一般的です。州立大学であれば、自主財源にあたる授業料収入や学生寮使用料、さらに連邦研究開発費の間接費収入、そして州政府の補助金を信用担保にして、キャンパス校舎の増改築(資本改善事業)を行います。これは法人格を有する、公共性の強い州立大学という組織機関が持ちうる市場経済へのアクセス力を物語っています。

 そうした市場経済の恩恵を受けるのは、その州立大学で教育サービスを受ける学生であり、彼らを含む広く州内の納税者です。

(参照)
●加藤一誠・塙武郎(2014)「アメリカにおいて地方政府が交通に果たす役割 -特別区と学校区を中心に」一般財団法人・運輸調査局『運輸と経済』2014年7月号:特集「アメリカ合衆国の交通事情」。
●塙武郎(2012)『アメリカの教育財政』日本経済評論社。
●塙武郎(2010)「アメリカ大都市の交通財政 ―ニューヨーク・シカゴの事例研究」渋谷博史・塙武郎編著『アメリカ・モデルとグローバル化Ⅱ ―「小さな政府と民間活用』第5 章所収、2010 年、昭和堂。
●塙武郎(2004)「現代アメリカ高等教育財政の研究」(筑波大学・博士論文)。

「事前勉強会」を開催 柳津町まちづくり政策提言プロジェクト(第3回)に向けて [地域再生・まちづくり]

先日、第3回となる柳津町でのまちづくり合宿(2015年3月30日、31日に開催予定)に向けて、渋谷で事前勉強会を行いました。当日どのようなテーマや内容でプレゼンを行うか、どこに意義があり、具体的な強みがあるかなどを議論しました。

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今回のリーダーを務める、東京大学文科二類の渋谷浩之君。

2013年夏から始まったこのまちづくり合宿も、じわじわと蓄積効果が現れてきました。学生の議論を一番後ろの席で聞いていると、開始した2年前に比べ、じつに柳津町での実体験をベースにしながら具体的かつ斬新な意見を戦わせているように感じました。

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3月30日の当日まで、もう一度、事前勉強会を開催し、いざ柳津町へ入ります!

八代市「緑の回廊線」を視察 [地域再生・まちづくり]

先日、熊本県八代市による「緑の回廊線」事業を視察・ヒアリング調査を行いました。メンバーは前日と同様、慶応義塾大学の一ノ瀬友博先生、日本大学の加藤一誠先生、学会事務局の方です。

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「緑の回廊線」とは、廃線となった引込線跡地と農業用水路を活用した、総延長6,850mになる自転車歩行者専用道路のことです。JR八代駅を起点に多くの高校・中学校・小学校そして住宅地等を巡って環状を描き、ちょうど「回廊」のようなことから、この名称が付されました。整備して以来、通勤・通学のほか、健康増進を目的としたジョギング・ウォーキング・サイクリング等を行うための環状ルート空間として広く利用されています。

熊本県八代市「緑の回廊線」整備事業(八代市ウェブサイト)へのリンク。

本事業の開始は平成6年、すでに20年間が経過しているとあって、回廊空間はすっかり定着しています。とくに回廊ルート周辺には小学校、中学校、高校が多く設置されており、生徒の安全性の高い自転車通学路としての利用価値が高いように感じました。

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実際、市の担当職員のご説明を受けながら回廊を八代駅に向かって歩きましたが、用水路からの豊富な水を回廊のすぐ脇に流し、子供の水遊びの場を提供したり、要所に屋根つきのベンチを設置するなどの工夫がなされていました。自転車と歩行者との接触等の事故も無いに等しいとのことで、それも20年間の経過によって市民に浸透していることをうかがわせます。

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世界的にみても、例えばニューヨーク市のど真ん中、マンハッタン地区にある廃線の利用による憩い空間として知られる"High Line"(ハイライン)があります。

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「ハイライン」は、その名の通り高架線の再利用事業とあって、ビルの4階くらいの高さを歩きます。マンハッタンの街並みを無料で眺望できます。要所には、階段状にしたベンチを設置。この日は3月の寒い日でしたが、多くの市民や観光客が集まってます。

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ちなみに「ハイライン」は現在、さらに北に向かって拡張工事を行っています。


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