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鹿児島市 電軌道敷緑化整備事業を視察 [地域再生・まちづくり]

先日、鹿児島市による電軌道敷緑化整備事業の現場を、学会の研究調査の一環で視察してきました。慶應義塾大学の一ノ瀬友博教授をPJリーダーに、日本大学経済学部の加藤一誠教授、そして学会事務局の方とご一緒しました。

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訪問・ヒアリング先は鹿児島市建設局建設管理部公園緑化課。課長の池田格氏をはじめ4名の担当職員の方々との質疑応答のあと、市内の軌道敷緑化事業の現場をみました。実際に路面電車にも乗車しました。本事業は平成18年度から開始され、現在は鹿児島駅から郡元電停交差点までの区間、高見馬場交差点から涙橋電停までの道路併用軌道区間の約8.9kmが緑地化されています。

鹿児島市電軌道敷緑化整備事業(鹿児島市ウェブサイト)へリンク

ヒートアイランド現象の緩和と都市景観の向上を実現することを目的とする本事業は、近年我が国で注目されている路面電車の積極的活用による都市再開発(コンパクトシティ化等)の事例の一つとして位置づけられますが、とくにヒートアイランド現象の緩和効果はエビデンスで実証されており、また騒音の軽減効果も確認されているようです。

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鹿児島市の玄関口「鹿児島中央駅」(九州新幹線の最南端の駅)のすぐ前に広がるオープンスペースに出ると、その緑地化された路面電車軌道敷がすぐに目に飛び込んできます。今回視察した冬(2月)でもその緑のインパクトは大きく、夏にもう一度訪問してみたい気持ちにもなりました。

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しかし、都市交通トータルでの課題もあるように感じました。
それは、バス事業との関係です。市は路面電車を都市交通の基軸に据え、ヒートアイランド緩和とCO2削減を実現する一方で、大量の大型バスの運用によりその効果を相殺している部分を否定しえません。もう少しバスとの交通モード間調整・最適化をはかる必要があるかもしれません。市内を視察した際、市バスに加えて民間のバス事業者が多く存在しており、大型バスがあたかもパレードするかのように連続走行する光景が頻繁に見受けられます。時間帯や路線にもよるとは思いますが、路面電車のほうが乗車率が高いように感じました。

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とはいえ、路面電車の軌道敷緑化事業は、今後の都市交通における多面的な機能の可能性を示唆していると感銘を受け、たいへん意義深い出張になりました。

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地方創生、経済産業省が「ローカルマネジメント法人」(仮称)を検討 [地域再生・まちづくり]

 地方経済の自立的・長期的成長は市場メカニズムの活用が重要なカギとなる。いよいよ始動した「地方創生」事業の推進にもこの基本認識は重要であると考えている。
 
 このほど経済産業省が明らかにした地方創生の政策提言の一つに「ローカルマネジメント法人」(仮称)の創設というものがあるが、これはたいへん興味深い。経済産業省経済産業政策局の有識者会議、日本の『稼ぐ力』創出研究会が提言したものであり、今後その詳細を検討していくこととしている。
 
 同有識者会議、第6回資料によれば、地域の特色を生かした産業活性化策として、サービス業とくに鉄道・バス等の公共交通、小売、保育、介護、宿泊、ガソリンスタンドといった生活密着型のサービスを総合的・効率的に提供する事業体としてローカルマネジメント法人を新設するとしている。

 ローカルマネジメント法人とは、従来のNPO法人と、株式会社の法人の双方のメリットを盛り込んだ事業体をイメージしたもので、市場メカニズムを生かした地域経済の再生を狙いとしたものである。従来のNPO法人は公共性の強い各事業を担う点で重要な役割を果たしてきたものの、財源が寄付金に限られていたため慢性的な資金不足に見舞われてきた。また利益の配当が制度上不可能であるため、事業拡大や発展に制約があった。つまり、公共性の強い事業分野ほど、市場メカニズムが機能してこなかった。

 そこで株式会社のように利益の配当を可能にし、市場メカニズムを生かした自立的な財源確保とガバナンス体制を有する新たな法人スキームを創設するのが、この提言である。

 もちろん法人格を付与して市場メカニズムを活用すればなんでも解決するとは思えない。しかし地方都市に行くほど小売を中心とするサービス業の労働生産性は低く、小規模・零細化、自営業化している現実は否定できない。こうしたサービス業の低い労働生産性をめぐる問題はわが国ではすでに指摘されてきたことであり、地方経済の衰退を象徴する事象と言わざるを得ない。駅前の「シャッター街」はその典型である。

 人口減少を加速させる最大の原因は20代から30代の若年人口の減少であるが、その若年層の特徴として、小売を中心とするサービス業を重要な「就業先」とし、また「消費先」としている点にある。これは大都市も地方都市も変わらない。したがってサービス業を魅力ある「就業先かつ消費先」とするためには、サービス業それ自体を活性化させることが有効である。すなわち、市場メカニズムを活用して、当該域内だけでなく域外からも運営資金を調達できる体制を構築することが重要である。域内外、つまりネットワークの外部性を生かすことが若年層に魅力あるサービス業の発展につながる。

 株式会社に近いかたちで法人格を付与することは、有効な手段である。少なくとも公共性の名の下で市場メカニズムを排除することは、今後の地方経済の再生を考えると、衰退をみずから招くことにほぼ等しい。「ローカルマネジメント法人」は地方創生という政策的文脈だけでなく、サービス業の新しい発展の姿を模索するうえでも試金石となる可能性は十分ある。今後の展開に期待したい。

 次回は、アメリカの公共交通を事例にして、法人格付与(charter)の意義について日米比較の視点から考えます。
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地域実習(森つくり班) 12月7日(日)無料バスの案内について

「地域実習」(農業)の受講生へ

11月19日(土)の「地域実習」(農業)は、
雨天のため、次の日程に順延とします。

 11月26日(土)

以上。



「地域実習」で大月市奈良子へ [地域再生・まちづくり]

去る11月15日および16日、「地域実習」の講義の一環で1泊2日で大月市奈良子にある「奈良子炭焼体験塾・釣センター」を会場にキャンプ実習を行いました。

その数日前から寒気が入り込み、山梨県の中山間地域とあって、朝晩そこそこ冷え込む中での開催でした。

まずは、釣センターを視察。土曜日とあって首都圏からの一般客が多く、意外にもにぎわっていました。
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釣センターの釣り堀池のすぐ脇には桂川の支流、奈良子川が流れます。
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次に「炭焼体験塾」の敷地内へ移動。オーナーの棚本氏から炭焼をはじめ森林エネルギーについてお話を伺いました。
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いよいよ夕食。バーベキューです!
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夜食は囲炉裏で暖をとりながら焼きおにぎりを作りました。タレは焼肉のタレを利用。
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寒い夜を何とか乗り切って、朝を迎えました。
朝食は、2年生が前夜から仕込んでくれたカレーライス。棚本氏のご好意で大量のジャガイモなど野菜をご提供いただきました。

そして最後に受講生全員で記念撮影。みなよく頑張りました。
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オーナーの棚本氏には大変お世話になりました。また学生も、奈良子という大月市のフィールドに実際に出て、1泊ながら中山間地域のリアルに触れることができたので貴重な体験だったと思います。来年も、奈良子キャンプを実施したいと考えています。

大月短大×東京大学×慶応大学 塙ジョイントゼミ(第3回) [塙ゼミの研究活動]

11月27日、第3回目となるジョイントゼミを開催しました。
今回は大月短大のゼミ生が限界集落化のプロセスについて先行研究を援用しながら報告し、その後、全員で質疑応答や討論を行いました。4人の東大生が参加してくれました。

限界集落プロセスの分析枠組みについて説明するゼミ生の滝脇さん。この枠組みを使って、現在の大月市の位置を示しながら今後ありうべき政策を検討しました。
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質疑応答の様子です。フロアの東大生からは、分析枠組みや事例の意義などたくさん質問や指摘が出ました。
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ゼミの終了後、全員で食事会をして、楽しいひと時を過ごしました。
次回は年明け2月以降の開催です。

大月短大×東京大学×慶応大学 第2回 塙ジョイントゼミ [塙ゼミの研究活動]

昨日、9月24日、第2回目となる大月短大×東京大学×慶応大学の塙ジョイントゼミを開催しました。今回は大月短大の塙ゼミ生が夏休みの勉強の成果の一部として、大月市の地域活性化策を具体的に検討したものをプレゼンしました。東大、慶応からの学生はそれに質問や批判等を行い、その後全員で意見交換を行うなどしました。

今回、プレゼンは男子チーム、女子チームに分かれて行いました。男子チームは竹田君、女子チームは滝脇さんが代表して報告しました。
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例えば大月市の観光資源の一つ、「名勝猿橋」の誘客数の増加に必要なことを、あらゆる角度から意見を出し合いました。なかなかいい意見が出ていましたが、一つのポイントとして、「猿橋」それ単体による誘客策ではなく、それを含む広域集客バウンダリーを前提とした地域交通モードの抜本的再編が必須のように思われます。

また、私自身が提言したのは、欧米諸国の都市計画にみる建造物と道路の体系的配置規制をヒントとした、「猿橋」の見せたい角度、見られたい角度の「360度化」による滞在時間確保の工夫です。世界の多くの都市は、徒歩で大通りを歩いていても常に目を楽しませる工夫を講じています。ワシントンの有名なPennsylvania Avenue、サンフランシスコやシアトルの路面電車はその実例です。

男女チームとも、前期から温めていたテーマであったので、だいぶ枠組みが固まってきたようでしたが、まだデータ根拠や裏付けが甘い部分が散見されました。それが今後の課題のようです。アイデア自体は悪くないように思いました。頑張ってもらいたいものです。次回の第3回目は、10月下旬~11月上旬で日程を調整します。

柳津町まちづくり政策提言プロジェクト(第2回合宿) [地域再生・まちづくり]

9月11日、12日の2日間、昨年に引き続き、福島県柳津町をフィールドとしたまちづくり合宿を実施しました。東大生を中心とする17名の学生を引率し、柳津町地域振興課、総務課の職員の方々との意見交換、学生による現状分析や政策提言(プレゼン)を行いました。町役場の会議室で行った第1セッションでは、2名の学生がプレゼンを行い、議論を深めました。その後、柳津町議会を傍聴させていただき、地方議会の様子も拝見しました。

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第1セッションでプレゼンする東京大学法学部3年、阿部祐一朗君。

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同じく、東京大学2年の佐藤利彦君。

またその夜は、宿泊先の老舗旅館「滝のや」様を会場として第2セッションを開催。井関町長、星副町長、沼田まちづくりアドバイザー、金子振興課長など町の執行幹部のほか、道の駅「会津柳津」の杉原駅長やそのほか柳津町のまちづくりに深くかかわる方々がご出席されるなか、3名の学生がプレゼンを行いました。限られた情報と時間の中で学生達はよく整理し、斬新なアイデアを提示してくれました。

さらに翌朝、朝食をいただいたあと、旅館で第3セッション。部会ごとのプレゼンと意見交換を行いました。ここでも3名の柳津町の若手職員が参加され、情報交換を行うことができました。

いまや少子化はおろか、若年層を中心とする人口流出が地方都市の人口減少を引き起こしています。それは、一つの政策を打っただけでは解決しえない状況に深刻化、複雑化しています。大胆な発想と実効性を重視した複数の政策を長期と短期、さらに中期に分けてパッケージとして打たないと、問題は解決できない状況に入っています。

また過疎自治他の抱える諸問題の解決には、町つまり公共セクターの力だけではとうてい無理であって、民間セクターの活力を前提として、それを軸にして、公共セクターが持続的・段階的に支援を行うといった政策の「合わせ技」が必須になっています。それを具体的に策定し、官民一体で実行に移すのが、柳津町に限らず人口流出・過疎化に直面するすべての地方自治体の地方再生に求められている共通の課題といえます。

最後に、会津若松駅前で参加者全員で撮影、現地解散。
お疲れ様でした。
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Frank Levy教授と面談 [アメリカ社会・経済・財政]

先日アメリカへ出張した際、世界的に著名な経済学者で、元MIT教授、現在ハーバード大学客員教授のFrank Levy先生と面談することができました。Levy先生の主著、"The New Dollars and Dreams"は「アメリカ経済論」等の私の講義でテキストとして使用してきましたが、今回その著者と、アメリカの産業構造や雇用問題、教育や都市問題について議論する機会を得たことは大変光栄でした。

彼のその名著はじつに単純明快な英文で書かれているのが特徴です。アメリカ経済とくに産業構造の変化やそれにともなう雇用や所得分布の諸問題を、地域、人種、教育歴などの視点から総合的に分析し、その大局的変化をわかりやすく解説しています。学部生も理解しやすいと好評です。

またLevy先生は昨年、アメリカ公共放送PBSの"News Hour"に出演されていました。アメリカ経済とりわけ都市問題や貧困問題についてコメントされていましたが、今回の面談の際、そのニュース放映を拝見しましたと告げたところ、若干照れくさい様子だったのが実に印象的でした。

最後にLevy先生の研究室で撮らせていただいた写真です。
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カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)にも寄贈 [著書・論文]

今日はUCLAの略称で知られるカリフォルニア大学ロサンゼルス校へ行き、大学図書館Young Research Libraryに私の単著『アメリカの教育財政』を寄贈してきました。連邦議会図書館、ワシントン大学に続いて、このUCLAが3ヵ所目となります。
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さて、果たして誰が手に取ってくれるのでしょうか(笑)。

大月短大×東京大学×慶応大学 第1回 塙ジョイントゼミ [塙ゼミの研究活動]

今日から、新カテゴリー「塙ゼミの研究活動」を開設します。

大月短期大学の塙ゼミ(財政学、地方財政、アメリカ財政、地域再生・公共経営まちづくり論)では、財政学・地方財政の知識習得とともに、地域の抱える様々な問題の現状分析や政策提言をテーマとして大局的グローバルの視点から研究を行っています。

特に、塙ゼミの研究活動の一環として、東京大学と慶應義塾大学の学生とのジョイントゼミを開始して、大月短期大学のゼミ生が中心となって大月市の現状分析や政策提言等を行っています。大月市の財政力、産業・雇用構造、人口減少の現状分析を進めつつ、今後ありうべき地域活性化、まちづくり事業を、大学間連携ネットワークを生かしながら広い視野と知識で検討するのが狙いです。

第1回目(昨日)は、東京大学、慶応大学の合計5名の学生が大月市の地域活性化を共通テーマに、独自の視点やアイデアでプレゼンをしていただきました。それに対して、大月短大の塙ゼミ生が質問し、議論を深めました。尚この5名は昨年の夏、福島県柳津町で開催したまちづくり合宿に参加したメンバーのコアメンバーです。
 ※ 過去ブログ記事「福島県柳津町まちづくり合宿」はこちらへ。

トップバッターは、東京大学経済学部3年の岡本紘明君です。いわゆる「ランチェスター戦略」の理論から大月市の地域産業の発展策を、長野県川上村のレタス栽培とその戦略性を事例に引きながら検討し、提言してくれました。
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2番手は、慶應義塾大学総合政策学部2年の竹内岬子さん、人口減少とその対策について長野県下條村を事例に検討しました。
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3番手は、東京大学(文科二類)2年の秋山仁志君、大月市の人口減少の大枠の要因分析と、徳島県神山町の事例に基づきながら、想定される大月市の優位性を導出してくれました。
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4番手は、東京大学(文科二類)2年の川原碧さん。日本のソフトパワーの象徴たるアニメ産業や市場を活用した大月市の奇抜な地域活性化アイデアを描いてくれました。
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ラストの5番手は、東京大学(文科二類)2年の佐藤利彦君。東京大学鉄道研究会にも所属するいわゆる「鉄ちゃん」は、新宿と大月市(駅)をむすぶ動脈としての鉄道を中心とする交通アクセスの再評価と、東京圏への通勤エリアのエッジとしての大月市(駅)の発展を目指した奇抜なアイデアを提案してくれました。
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そして最後に全員で写真撮影。撮影は、教務課の方にお願いしてしまいました。ありがとうございました。
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次回の第2回目は、9月中旬に開催します。今度は大月短大の塙ゼミ生がグループごとにプレゼン発表を行い、東大生、慶応生がこれに質問し、意見交換・アイデア模索を深めます。テーマは一貫して、共通テーマである大月市の地方財政、地域活性化、人口減少、産業振興・観光政策の諸問題です。

サブプライムローンと都市計画 [アメリカ社会・経済・財政]

世紀的な経済不況をもたらした2008年リーマンブラザース破綻に象徴されるサブプライムローン問題で、すっかり日本でも知られるようになったアメリカの都市郊外に広がる住宅街。プールやバックヤード付きの高級住宅も多く見かけます。日本でもそうですが、郊外の住宅開発を含めその立地許可を出すのは地方自治体です。アメリカは地方分権社会ですから地方自治体の権限は日本よりも相対的に強いわけですが、それゆえに地方自治体の都市計画の基本構想を盛り込んだ「マスタープラン」は重要な役割を担っています。その地方自治体の「マスタープラン」作りに欠かせない学問領域が、経済学や統計学を基礎とし、その応用学問としての「公共政策」(public policy)です。例えば、アメリカの地方自治体に雇われているCity managerの多くはこの公共政策の専門家です。
1990年代以後アメリカの地方自治体は、上述したマスタープランの重要な柱に「成長管理政策」(growth management policy)と呼ばれる都市計画の考え方を据えています。下のモデル図はその「成長管理政策」に基づく都市計画の基本構造を示したものです。注目ポイントは幾つかありますが、ここでは「cycling(自転車)」と「street car(路面電車)」の領域が相互に連動している点を紹介します。

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アメリカの多くの地方自治体(特に大都市から中堅都市にかけて)では、バスや路面電車に自転車を載せて乗車することができます。アメリカは「クルマ社会」ですが、近年はクリーンで社会的費用(インフラ増大による将来の増税)の増大を抑制する方向で都市計画が進められ、その際にこの成長管理政策に基づく自転車と路面電車の相互リンケージを重視しています。成長(人口や面積、社会的費用など)を管理するという発想は、「クルマ社会」アメリカには信じがたいことですが、実は1960年代前半からカリフォルニア州を中心にこうした抑制型の都市計画の考え方が地方自治体で実践されているのです。また、地元の州立大学(大学院の都市計画学部・公共政策学部)はその都市計画の推進を図る重要なブレイン役を担ってきたことも興味深いです。今日オバマ政権による「グリーン・ニューディール」政策も地方自治体でいわば社会実験的に進められる成長管理政策と整合するものとして注目されています。

サブプライムローン問題は、投資銀行の暴走、金融工学の独り歩きが原因とされています。もちろんそれが直接的な原因ですが、私自身は、それに加えて、住宅バブルの裏で湧きたつ、地方自治体の地方財産税(自主財源)の増収イニシャティブがあったことに注目しています。地方分権国家アメリカの本能ともいうべき、地方自治体による市場を通じた自主財源の獲得が激化し、その結果「成長管理政策」から大きく離脱したことが、サブプライムローン問題をより深刻にさせた原因の一つであるといえます。

アメリカの都市型インターネット大学 :University of Phoenix(フェニックス大学) [アメリカ社会・経済・財政]

アメリカの社会人対象のインターネット大学の最大手、University of Phoenix。なかなか良い雰囲気が出ているHPです。全米の主要都市にキャンパスやラーニングセンターをもち、ビジネスマン・社会人対象のインターネット大学で知られています。大学院博士課程(マネジメント、ビジネス)も設置されています。講義科目の多くは週2回の宿題を課すという、ハードワークな大学でも知られています。日本人の学生も少なくありません。同大学は、Higher Learning Commissionからアククレディテ-エション(認証評価)を得ており、また、ビジネス、ナーシング、教員養成、カウンセリングの分野別にアククレディテ-エションを得ています。特にビジネス系に力が注がれています。

ロサンゼルス国際空港から車で南へ30分にある同大学のキャンパス。電話でアポイントを取って教務ディレクターと教員に色々と質問することができました。勿論、教員や学生のシステム画面も拝見してきました。シンプルなのがグローバルスタンダードのようです。夕方には大学院の講義(Macro economics)も聴講できました。

(休憩時間の教室の様子。学生はPCを持ち込んでます。)
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同大学は、都市型のインターネット大学です。学生はウェブ上でレポート等を提出できると同時に、通学して教授を中心に学生同士のディスカッションを深めます。特に大学院では通学を義務付けている場合も多く、プレゼン、ディスカッション能力を重視してます。しかし、ディスカッションはライブ配信されてません。

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(メインエントランスにある開講科目の液晶掲示板)
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オバマ一家の「選択」? [アメリカ社会・経済・財政]

2008年のアメリカ大統領選は、アメリカの建国233年の歴史を大きく変えるものとなりました。"Change is coming"は単なる繰り返しの「掛け声」でなく、まさに「現実」のものとなりました。

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今、Obama一家にとって重要なのは、ホワイトハウスで飼う犬の種類と、2人の娘の転校先であると、日本でも報じられています。犬はともかく、転校先がアメリカで話題となるのは、いくつかのアメリカ的な背景があるからです。アメリカの初等中等教育サービスは「学校区」(school district)と呼ばれる地方自治体ごとに地方分権的に運営されているため、どの「学校区」を選択するかが両親(学校区の納税者)や学ぶ本人にとって重要となっています。学校区ごとの分権型の教育システムは、明確な格差を生み出す制度でもあるため、1970年代以後州から学校区に補助金を大規模に交付するようになりましたが、富裕な学校区は青天井に財源を確保することが可能であるため、州補助金の格差是正効果には限界があるのが現状です。

オバマ大統領は民主党です。民主党はこうした州・地方レベルでの教育財源の格差を重大なアメリカの国家的課題として掲げてきた政党です。貧困層が多い学校区には手厚く連邦補助金を交付することを支持してきました。それだけにObama一家が、どの「学校区」を選択するかが注目されているという訳です。

ワシントン郊外には幾つかの富裕な学校区がありますが、特にメリーランド州にあるBethesdaが代表例です。大統領ファミリーと言えど、どこかの州の「学校区」を選択しなくてはなりません。さて、 Obama一家は、どの「学校区」を選択するのでしょうか?
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オバマ政権と金融改革 [アメリカ社会・経済・財政]

アメリカ経済は、サブプライムローンに端を発する一連の金融危機とそれへの緊急経済安定化策としての大規模な公的資金投入による不良債権の買い取りを見ていると、単にアメリカの自由経済の無法ぶりを批判する論調がEUを中心に支配的になっています。しかしアメリカの資本市場、証券市場が20世紀を通じて、いかにグローバルな信用と魅力を保ち続け、強固なファンダメンタルズを確保していたかという側面がもう少し論じられても良いと思います。

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現在、金融サミットでは、IMF等によるグローバルな資金規制が導入される方向で議論されていますが、その改革をアメリカがどの程度受け入れる用意があるかについては、今回の金融サミットでのアメリカ(ブッシュ政権)の姿勢からは、未知数のようです。それもそのはずで、いまアメリカ連邦議会では、公的資金注入の実質的なアクションプランに移っているため、IMFの資金規制改革よりも、不良債権の値付けをどのように行うかが、最大の論点になり続けているからです。公的資金を投入する以上は、納税者にワラントを発行して権利保証すべきだとする意見が経済学者から出ているのです。

プリンストン大学のPaul Krugman教授(今年のノーベル経済学賞受賞者)はリベラル派の経済学者で広く知られ、次期オバマ民主党政権のブレインになることが有力視されていますが、とりわけ彼の主張は、納税者へのワラント発行による権利保証すべきであるというものです。(The New York Timesのコラム、米PBSでのコメント)。来年1月20日に、オバマ次期大統領による大統領就任演説があります。おそらくオバマ大統領はその就任演説の場で、2年にわたる公的資金投入と納税者の権利保証について何らかの言及があるはずです。注目したいところです。

アメリカ最大の軍需産業の街、El Segundoへ [アメリカ社会・経済・財政]

私は学部から大学院にかけて一貫してアメリカの経済や財政の研究に携わってきました。そのなかで関心を寄せてきた分野の一つが、アメリカ経済の心臓部ともいうべき軍需産業(military industry)です。9月にニューヨークとロサンゼルスに出張に行く機会があったのですが、ロサンゼルスに行った際に、ロス空港から南へ30分ほど行ったところにあるアメリカ最大の軍需産業の町、El Segundoに立ち寄りました。

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El Segundoカウンティ内の軍需企業を3社ほど訪問しましたが、当然ながら、どの企業も厳重体制で、1社だけ、プラント内を見せていただきました。それは、アメリカの最新鋭戦闘機F-22Rapterの空気取入れ口を専門に製造する企業です。次期オバマ民主党政権における軍事支出(研究開発費を含む)は、これまでの共和党政権に比べれば抑制されるとの公算が高いですが、しかし軍需から民需への技術移転・波及効果は絶大であることは歴史が証明してます。インターネットは、その民需移転の典型例であることは有名な話です。その恩恵により、eラーニングも可能になっています。

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歴史的に見て軍需産業は20世紀のアメリカ経済の繁栄を支える花形産業であり続けただけに、単純な発想での軍事支出削減は、アメリカ経済の発展の次なる局面で競争力を削ぎ落としかねません。また、90年代クリントン政権は軍事支出を削減し、支出全体の10%を切る年度もありましたが、オバマ次期大統領ではどのようになるのでしょうか?歴代の民主党政権が得意としてきた「内政」ではなく、「外政」に関わる軍事支出をオバマ氏はどのように認識しているのか、彼の今後の連邦議会内でのリーダーシップが注目されている所以です。

ニューヨーク市の公立小学校 [教育改革]

「3人に1人が移民、2人に1人が英語を母国語としない」。これがアメリカ最大の都市ニューヨークの実態です。公立学校の先生の技能が問われます。

多種多様な人種民族で構成されるニューヨーク市。その意味でグローバリゼーションの縮図のような都市です。ただし移民が人口の多くを占めるニューヨーク市も、自立的な権限と税源をもつ地方自治体の一つであることに何らかわりはありません。納税者は税負担をし、教育、福祉、住宅、公衆衛生等の行政サービスが維持されています。移民も納税者の一人です。

また、アメリカ最大の移民都市ニューヨーク市はアメリカ最大規模の「巨大学校区」です。英語を母国語としない移民の家族が多く居住する学校区であり、小中学校・高校は、移民の子女を含む生徒自らがアメリカ社会で生きていく上で最低限必要とされる学力を習得させるという、極めて重要な役割を果たしています。特にほとんどの小学校で英語の補習授業プログラム(Language acquisition)は重要であり、そのために学校区の予算や教員配置も市教育委員会や各学校レベルで毎年議論されます。また、英語を母国語としない両親との対応にも大変な苦労があるようです。

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9月に視察したのは、そのニューヨーク市にあるマンハッタン地区に設置されている公立小学校、Central Park EastⅠおよびⅡ。小学校4年生の社会の授業を視察させていただきましたが、生徒一人ひとりにパソコンを与えてのインターネットを活用した授業でした。インターネットを活用した授業はクリントン政権以来、全米の小・中学校で実施されてますが、その導入機材の良し悪しは学校区の財政状況(自主財源)で決まります。私がこれまで視察した中では、マクロソフト社が小・中学校の授業運営のために開発した"Smart Board"と呼ばれるモデルが最新機材と記憶していますが、今回視察した小学校の校長先生に伺うと、まだその導入の見通しはないとのこと。

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アメリカ最大の巨大都市ニューヨーク。ウォール街に代表されるアメリカ経済の力強く豊かで華やかな世界の裏側には、ローカルガバメントとしての学校区の厳しい現実がありました。豊かにして貧しい超大国アメリカ。その象徴たるニューヨーク市は今日も多種多様な人種民族でにぎわっています。

コロンビア大学 [アメリカ社会・経済・財政]

ニューヨークのマンハッタンにある名門、コロンビア大学。

 資料をもらいに経済学部に行きました。アメリカの大学は地域社会への知の還元を主たるミッションとして今日まで発展してますが、財界、産業界の側も大学に多額の寄付金を供し、相互の利益を得てきました。

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 私は学部生のとき以来ずっと、アメリカにおける大学と地域社会との密接な関係に強い関心を持っていますが、今回のコロンビア大学に立ち寄った時も改めてアメリカの大学の存在感を実に強く感じました。

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 そうしたアメリカの大学の在り方を象徴するのが、大学図書館です。 まさに「知と富の結晶」といった感じです。

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 皮肉なことに、いま大騒ぎになっているマンハッタン(Wall Street)を震源地とする世界金融不安の広がりも、「金融工学」という大学が生み出した英知によるものです。
 これを解決するのも大学、といったところでしょうか。

映画「Beautiful Mind」の舞台へ [アメリカ社会・経済・財政]

今、ニューヨークに出張に来ています。アポイントメントの連続で移動に忙しい毎日ですが、マンハッタン内は交通の便が良いので助かります。主な訪問先はニューヨークの都市交通公社MTAで、その財政部局の方とのディスカッション、それから机上の空論に陥らないためのフィールドワークとして、地下鉄の資本改善計画(英語で一般にCIPと呼びます)を視察に行っています。そのほか、ニューヨーク市役所の財政部局や住宅公社、そして今日はニューヨーク市立大学、ニューヨーク大学、そして名門のプリンストン大学の経済学部に行きました。

ニューヨークからニュージャージ交通公社(NJ Transit)に乗って1時間半ほどでプリンストン大学に着きますが、さすがに大都市ニューヨークから1時間以上離れると、緑豊かな自然が広がります。ちなみにプリンストン大学は、映画『Beautiful Mind』の舞台でも知られています。これは、数学者であり、経済学者であるJohn Nash博士(1994年ノーベル経済学賞受賞)の人生を映画化したものです。キャンパス内を歩いた時、映画に使われた建物が目に入り、感動です。下の写真はその一つです。さて、どの場面に使われているでしょう?
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雨のニューヨーク、市役所 [アメリカ社会・経済・財政]

ニューヨークに出張しております。今日は土曜日だったので役所や公社などのアポイントメントは一切なく、少し市内を回ることができました。今日はバスでの移動が中心でした。もっとも、そのバスなどの公共交通の研究調査で出張に来ているので、フィールドワークも兼ねてます。地下鉄やバスに乗ると、車窓を楽しむというよりも、どのような人が乗ってくるのか、または、乗車区間はどれくらいか等々、ついつい仕事の問題意識に集中してしまっていました。

午後3時位でしょうか、急に雷とどしゃぶりの雨が降り出し、市役所近くのカフェで雨宿りしましたが、結局、雨はやまず。路上で4ドルの傘を買って(折りたたみの傘は日本から持参していたのですが)、帰りました。写真はその時のニューヨーク市役所(11階に財政局があります)、右に少し見えるのは昨年も訪問した教育局です。
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でも今日はなかなか良いデジカメ画像が撮れました。アメリカ経済や財政システムの重要な側面を映し出す良い資料になります。写真は、精査しながら講義で活用する予定ですので、お楽しみに。

アメリカの学校区と教育自治 [教育改革]

以前のブログで、アメリカは「地方自治の百貨店」のような国だと表現しましたが、今回はまさにそれを象徴する分野である教育(義務教育を含む初等中等教育)の分野を紹介します。3月、ワシントンDCに研究調査で出張に行きましたが、その際にワシントンDCに隣接するメリーランド州Prince George's Countyの学校区オフィスにも行きました。

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これがその正面玄関。メリーランド州ではCountyが学校区の行政単位となっています。

訪問の目的は、学校区長(superintendent)にお会いして財務部長も交えながら30分ディスカッションすることでした。学校区のオフィスに入ると、その長い廊下一面に、生徒の習熟度テストの成績の時系列グラフが張り出されていたのが印象的。近年アメリカの多くの州は、州内にあるすべての学校区に科目別習熟度テストを実施、報告を義務づけています。メリーランド州は特に教育に力を入れています。そのグラフを横目で見ながら、一番奥にある学校区長オフィスへと、案内されました。その途中、同County教育委員会の本会議場がありました。この本会議場こそ「教育自治」の物質的な姿といえます。ここで決めることが全てであり、連邦や州の上位政府からの関与やコントロールは基本的にはありません。つまり、すべて学校区ごとで自分たちの教育行政を賄うという自立、自生、自治の考えを規範としています。財政については、ある程度、州や連邦からの各種補助金が交付されますが、基本となる財源は学校区内で課税された自主財源(地方財産税)です。

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地域住民(教育費を負担する学校区の一般納税者)は誰でも傍聴、質問ができる。委員会はケーブルテレビで放映される。
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委員席からプレス席・傍聴席の方に向かって見るとこんな感じ。

「教育自治」といえる根拠に、"Layman system"があります。アメリカの教育委員会は学校区ごとに公選によって召集されたメンバーで構成されます。財政(地方財産税率決定や予算編成)、人事、カリキュラムに至るまですべて教育委員会の承認なくして決まりません。つまり"layman system"(素人による官僚専制に対するチェックアンドバランス)です。地方行政における民主主義の確立は、教育に顕著に見られます。まさに「教育自治」なのです。もちろん、素人だけでは行政は動かせません。ちゃんと事務組織も確立されており、そのトップが今回お会いすることができた、学校区長なのです。

アメリカでは「学校区長」というポストは教育行政のプロフェッションであり、通常、年収10万ドル以上、いわば地方の高級官僚といったところです。ほとんどの方が経済学の博士号やMBAなどの学位を持っています。しかし、やはりその学校区長の権限も教育委員会の承認の上に発揮されるものであり、強権的なものではありません。ここに、アメリカ教育行政の最大の特徴があり、常に進化する仕掛けがあるといえそうです。

シアトルの都市交通 [都市交通]

2013年夏、シアトルで開催されたワシントン州交通局主催の公共交通カンファレンス(2012 Public Transportation Conference)に参加しました。そこでは路面電車のさらなる延伸をどう進めるかが最大の議論の一つになっておりました。

まずはシアトル都心部(ダウンタウン)にあるセーフコフィールドのすぐ脇を走る鉄道の様子から。アムトラック等の旅客列車も走りますが、主に貨物列車が走ります。
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元々シアトルは全米でも公共交通の先進都市として知られており、とりわけバス が非常によく発達しています。ただし都市交通システム全体の「広域化」と「大量 輸送化」という交通政策にとって宿命的な課題が残されていました。その問題解 決策として、1990年代から、既存のバスと併用リンクさせるする形で、軽量の路面 電車という新交通システムが整備されたわけです。

ダウンタウンとタコマ国際空港を結ぶ路面電車。
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アメリカはクルマ社会かつヒコーキ社会です。それはシアトルも変わりません。シアトルを含むアメリカ大都市では、 空港からダウンタウンへどのように人間(旅客)を運ぶかが重要な都市政策や都市財政の問題、そして政治問題になります。そしてバス、電車、車(レンタカー)の3者の交通モード間のバランス調整、あるいは選択が重要なイシューとなり、各モード別と複数モード混合などの費用便益 分析(cost-benefit analysis)が経済学者など公共政策論の専門家によって行われます。

その費用便益分析によって導き出された結論が下の写真です。廃線となった貨物鉄道の跡地を利用した路面電車の整備、つまり資本的経費の大幅な圧縮を前提とした路面電車の整備だったのです。大局的に言えば、「貨物から旅客へ」という政策シフトといえます。
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加えて、冒頭で述べたシアトル都市交通の顔ともいうべき「バス」の専用レーンも路面電車のスグ脇に設けることによって、路面電車とのリンケージ(シームレス化)を実現しました。
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シアトルの事例は、あくまでそれ固有の事例です。これが普遍的な回答ではありません。しかし、都市部における廃線の跡地利用の問題は結局、「直線」の空間利用が前提条件になります。したがって交通事業での再利用が州、自治体、交通公社、そして利用者(納税者)全体にとって便益の最大化になるかも しれません。
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廃線跡地の利活用 [都市交通]

 現在、横浜市等は東急東横線の旧高島町駅~桜木町駅間の廃線跡地利用について検討中です。

下の写真は、その東急東横線にある「旧高島町駅」付近の様子です。ここに駅がありました。奥側レーンはJR根岸線が走行中です。手前側レーンが旧東急東横線で、ここをどう利用すべきかが検討されています。
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旧東横線のレーンを拡大。幅は8メートル前後。
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 なお、すでに東急東横線の旧東白楽駅~横浜駅間では緑道や遊歩道に生まれかわっており、旧高島町-桜木町間の再開発事業にとってそれは参考になります。ただしこの東白楽ー横浜駅の区間は「高架橋」ではなく、「路面上」です。折角の再開発事業ですから、前者とは異なる別の発想・アイデアによる利活用モデルを実践したいものです。

渋谷博史・樋口均・塙武郎編 『アメリカ経済とグローバル化』ご案内 [著書・論文]

 このたび 『アメリカ経済とグローバル化』(学文社、2013年4月4日発行)が発行されましたので、ご案内いたします。

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 本書は、渋谷博史東京大学教授、樋口均信州大学教授、そして私の3人が編著者となり、グローバル化の発信源に位置づけられる「アメリカ経済」の最新動向を念頭におきながら、産業貿易、自動車産業、IT産業、航空産業、金融、医療福祉、芸術の各分野について、7名のアメリカ経済の研究者がそれぞれ著したものです。
 私自身は、第2章「自動車産業の衰退と大量失業問題 デトロイトの事例」を担当しました。学部生向けの教科書として、具体事例を盛り込みながら平易に解説したものです。
 アメリカ経済を学ぶ学生の皆さんに少しでも役立つものになれば幸いです。

柳津町まちづくり政策提言プロジェクト(第1回合宿) [地域再生・まちづくり]

 2013年9月6日(金)および7日(土)の1泊2日で、「柳津町まちづくり政策提言プロジェクト 第1回合宿」を開催し、無事に終了しました。「福島民報」の記者が取材に来てくださり、記事に掲載されるのが楽しみです。
 この合宿は、東京大学と八洲学園大学での私の受講生を中心とする学生、計15名を引率して、人口減少や過疎化が進む中山間自治体の抱える政策課題やまちづくり事業について学び、政策提言を行うことを目的として、福島県柳津町との連携のもとで開催されたものです。また合宿では、井関庄一町長をはじめ、星正敏副町長、田崎為浩町議長、杉原啓輔「道の駅・会津柳津」駅長など柳津町まちづくりのリーダーも歓迎、参加してくださり、議論を交わすことができました。この場を借りて、改めて御礼申し上げます。

 まずは、井関町長、新井田課長と一緒に 「斎藤清美術館」前で撮影。宿泊先「滝のや」宿主・塩田氏もご一緒です。
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 さて合宿は主に3つのセッションで構成。「自治体経営・行政」「農業・環境」「観光・交通」の3部会に分かれ、各部会ごとに「第5次柳津町地域振興計画」等に基づきながら現状分析や問題提起そして政策提言などを行いました。

 まず「第1セッション」では新井田・地域振興課長から柳津町政・まちづくりの基調レクチャーを受けました。引き続き、学生代表リーダーの岡本紘明君(東京大学文科二類、2年)による農業政策に関する学生プレゼンがありました。その後、役場の隣にある「斎藤清美術館」(世界的に著名な版画家で、文化功労章を受章)へ移動。新井田課長に同行・解説いただきました。

「第1セッション」でプレゼンする岡本君。 「福島民報」記者も奥で撮影されてます。
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 次は「第2セッション」では、一般公開、インターネット配信を行う形で、2本の学生プレゼンを実施。森山剛志君(東京大学文科一類、2年)は農業振興としての外国人受入れと入管法問題を、佐藤利彦君(東京大学文科二類、1年)はJR只見線を活用した柳津町の観光戦略を、それぞれ発表しました。副町長、新井田課長と職員、田崎町議長、伊藤町議など多くの方がご参加いただき、会場は満員御礼でした。


「第2セッション」でプレゼンする森山君(上)、佐藤君(下)。
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 そして翌朝の「第3セッション」では、3部会ごとに学生プレゼンを実施。田崎議長も早朝から参加され、貴重な質問とコメントを受けることができました。学生は中山間自治体・柳津町が直面する現実の政策課題をめぐって政策担当者と向き合って議論することができ、大喜びでした。

「第3セッション」での学生同志によるディスカッションの様子。
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 参加したすべての学生が、「是非これを継続したい」、「豪雪を活かしたまちづくり事業を体現するためにも、冬にも合宿を行いたい」などと言ってくれました。もちろん、継続します。
 最後にJR会津若松駅前で、学生15名全員で記念撮影。このあと学生は「会津バス」に乗り込み、6時間かけて東京(新宿)へ帰りました。学生のみなさん、お疲れ様でした。そして柳津町職員のみなさん、宿泊先「花ホテル 滝のや」塩田さんにはお世話になりました。ありがとうございました。
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デトロイト市の財政破綻 その① [財政問題]

 2013年12月3日(アメリカ現地時間)は、州(State)が本来もつ権力の大きさを改めて証明する、注目すべき判決が下された日となった。デトロイト市の財政破綻に関する連邦破産法「チャプター9」適用をめぐる一連の動きに、終止符が打たれたからである。
 その注目された連邦破産裁判所(スティーブ・ローズSteve Rhodes判事)による判決は、ミシガン州知事主導によるデトロイト市への「チャプター9」適用申請は妥当(valid)であり、同市の財政破綻はやむを得ない、とするものであった。
 この「ローズ判決」は、少なくとも次の2点について、アメリカ社会、とりわけ州や地方自治体(市、カウンティ、学校区など)財政関係者に大きな影響を与えると考えられる。
 第一は、州政府の創造物(creature)と広く認識されてきた「地方自治体」この場合デトロイト市における「草の根の地方自治」の範囲には一定の制約があり、それが州知事主導による手続きが進められたことに何ら違法性はない、むしろ中長期的にみて健全な措置であるとの判例が提示されたことである。このことは、1875年ミズーリ州で下されたディロン判事による「ディロン原則」を再確認する判決でもあり、州が地方自治体の主張する地方自治のあり方、特に財政規律に関して強権的に介入する最終権力を有しているとの判例を、ミシガン州も踏襲した形となった。
 第二は、スナイダー州知事が、デトロイト市という世界的な産業集積をみる大都市、それもアメリカ自動車産業の繁栄を象徴する大都市が財政破綻の危機に直面した現実に対し、特段の救済措置は打たなかった点である。むしろスナイダー知事は、彼自身が指名した緊急財政管理監ケビン・オー氏を同市に送り込む形で市の財政破綻を積極的に進める行政手法を採用した。この手法は、裁判の争点となっていた市退職者の年金給付の大幅削減を含む市財政再建プログラム案を提示するものであったが故に論争を巻き起こしたことは、既に報道されている通りである。
 逆にいえば、「ディロン原則」以来の判例の蓄積がある一方、州知事主導による行政手法に対して地方自治体レベルでの草の根の地方自治を堅持しようとするパワーが存在していることも、浮き彫りにしたと言って良い。
 実は私自身も、デトロイト市については2010年以後、初等中等教育財政(デトロイト市学校区)の事例研究で調査している。例えば近年では、塙武郎著『アメリカの教育財政』(日本経済評論社、2012年)や、渋谷博史・樋口均・塙武郎編著『アメリカ経済とグローバル化』(学文社、2013年)第2章所収「アメリカ自動車産業の衰退と大量失業問題 :デトロイトの事例」で言及した。アメリカ自身が推進しようとする自由競争や市場経済をベースとする「グローバル化」が、政府部門それも州や地方自治体レベルの地方財政に与える経済的インパクトの大きさに息を飲む思いである。

2012年アメリカ大統領選(2) レーガン空港から [アメリカ社会・経済・財政]

「オバマ圧勝」に終わった2012年アメリカ大統領選。今後4年間、民主党政権の続投が決まったが、依然としてアメリカの外政、内政ともに課題山積で、上下院のねじれ問題はおろか、オバマ政権が1期目に最大限注力した公的医療保険制度が無事に実施されるかという最大の内政問題が注目されている。

一方、朗報もある。シェールガスをはじめアメリカのエネルギー国内生産体制への期待が昨年から一気に高まっており、もしそれが現実のものとなればエネルギー資源の供給体制の世界的再編が起き、それにともなって中東諸国を中心とする原油をめぐる国際情勢の構造変動をも引き起こすと予想される。事実オバマ大統領は昨日、テキサスを訪問して、こうしたエネルギー資源開発への期待の高まりをアピールしている。これはアメリカ製造業の再生、とくに南部諸州の経済成長にとって朗報となろう。

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年明け1月21日(通常20日ですが今回は21日です)、ワシントンDC連邦議会前では大統領就任演説が開催される。おそらく、この就任演説でも「アメリカの本格的再生、とくにエネルギー資源開発を通じた製造業の再生と雇用創出」が強調されると思われる。

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そんな予想や連想をしながら、ワシントンDCのレーガン空港で撮った写真を引っ張り出した。

2012年アメリカ大統領選」(1) オハイオ州クリーブランドの証言 [アメリカ社会・経済・財政]

 2012年アメリカ大統領選もようやくフロリダ州の結果が明らかになり、民主党332人、共和党206人という最終結果で幕を閉じた。民主党オバマ大統領の「圧勝」であった。

 私は、ちょうどこの2012年選挙の直前、両党の候補者指名受託演説が開催されていた8月下旬から9月上旬にかけて、激戦州の一つオハイオ州に出張する機会を得た。クリーブランド市やコロンバス市に数日間滞在した。その中で、クリーブランド市滞在中に貴重な証言を得ることができた。それは、今思えば「オバマ圧勝」を鋭く察するものであった。

 私はその日、クリーブランド市ダウンタウン地区を流れる川に架かる古い鉄橋の管理人と話すことができた。その鉄橋管理人とは、オハイオ生まれ、オハイオ育ちの60代後半の白人男性である。

 白人男性いわく、「製造業に長く依存してきたオハイオ経済、とくにクリーブランドの地域経済はグローバル化の進展よって悉く衰退した。とくに鉄鋼業は衰退の一途だよ。オハイオ州には製造業に就こうという若者は自分の息子を含めて激減したよ(笑)」 と。その男性の息子さんは現在、アメリカ空軍に勤務しているという。
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 その白人男性は、昔から基本的に共和党支持者。ということは当然ロムニー候補に票を投じるのかと思われた。しかし、クリーブランドで働く人間の心境は、そう単純ではないということがわかった。

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その男性いわく、「民主党オバマ大統領は、本気でアメリカの製造業の競争力を強化して雇用を生み出そうとしている。隣のミシガン州の自動車産業への救済措置で、それを強く悟った。だから自動車産業と同様、鉄鋼業もある程度は救済措置を打つはずだ。2008年選挙は共和党(マケイン)に投票したが、2012年選挙は民主党(オバマ)に投票するつもりだ。」 と。
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中西部オハイオ州クリーブランド市の鉄橋管理者の証言は興味深いものがあった。今回2012年選挙の激戦州オハイオ州でのオバマ勝利は、こうした悩める共和党支持者の苦悩の選択、まさにswing votersの存在が大きかったようである。

米国議会図書館にも寄贈しました! [著書・論文]

さて本日は、ワシントンDCにある米国議会図書館(US Library of Congress)へ行き、ワシントン大学と同様、私の単著書を寄贈してきました。

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米国議会図書館の正面エントランスから入り、すぐ右に曲がるとアジア・ディビジョンがありますが、総合案内デスクの方に案内されましあ。アジア・ディビジョンに着くと奥から専門ライブラリアンが出てきてくださり、対応してくださいました。大変丁寧な対応でした。そのライブラリアンいわく、ここ数年の予算削減で30%の人員がカットされたようで、その上、議会図書館の規模は大きいだけに、まだまだ電子化が思うように進んでいない等々の内情を教えてくれました。

手続きをすべて済ませたあと、そのライブラリアンの方が記念にと写真を撮ってくださいました。僕にとって、まさに感無量の一枚です。
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ワシントン大学図書館に単著を寄贈しました [著書・論文]

ワシントン州交通局主催のカンファレンスも無事終了。時間を見つけて日本研究分野で全米でもトップクラスのワシントン大学(University of Washington)を訪問してきました。訪問の目的は、2つ。一つは、博士論文や単著『アメリカの教育財政』を執筆する過程でコメントをくれた教育学スクールの先生を訪問して御礼を言うこと、もう一つは、その単著をワシントン大学図書館に寄贈すること。

ワシントン大学には、アジア研究関連の図書・資料を管理する「東アジア図書館」(East Asia Library)があります。10年ぶりの訪問です。
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リュックサックを背負ってウロウロしている10年前の自分に遭遇しそうな、不思議な気持ちになりました。もちろん、そこには10年後の「老けた自分」しかいませんでしたが。
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連邦議会図書館のアジアセクションの専門ライブラリアンが奥から出てきてくれて、大歓迎してくれました。そしてすぐに図書寄贈の手続きをとってくれました。
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学生時代を含む過去10年間の研究成果をアメリカの地に形として残すことができて、大満足の一日でした。さて、誰が借りて読んでくれるのでしょうか。

シアトルで交通学会 [都市交通]

シアトルに10年ぶりに来ています。ワシントン州政府交通局の主催するカンファレンスに参加するためです。カンファレンスは3日間あり、様々なセッションが行われています。シアトルは全米でも公共交通、とくにバスが発達している都市でよく知られています。近年はバスに加えて路面電車の整備も急速に進められており、今回のカンファレンスも路面電車に関するテーマが注目されます。

カンファレンスの様子は、こんな感じです。明日は、カンファレンス最終日です。それにしても、シアトルは涼しくて最高です!
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